中高年になったらぐっすり眠る工夫を
しかしながら、30代以降になると、眠りは浅くなる傾向があり、夜中に目が覚める中途覚醒が起こるなど、熟睡感も減ってしまう。加齢だけでなく、大きなストレスを抱えて眠れない場合も、やはり睡眠の質は下がる。
ほかにも、成長ホルモンの分泌は年齢とともに減ることが知られているが、そもそも、成長ホルモンは最も深い眠りのときに、多く分泌される。だから眠りが浅くなると分泌も減ってしまうのだ。
睡眠の時間を確保するのはもちろん重要だが、体と心を十分に休め、細胞の再生が進むように、ぐっすり深く眠る工夫をしていくこと。眠りが持つ本来の役割を知り、中高年以降は「質」にも目を向けていくことが、睡眠トラブルの悩みを解決する大切なカギになるのだ。
次回は、睡眠の質を高めるカギになる「睡眠周期」と、それによってもたらされる7つの健康効果について紹介していく。
(写真:岡﨑健志/取材・文:村上富美)
早稲田大学スポーツ科学 学術院 教授 医学博士

スリープクリニック調布 院長

(出典:日経ヘルス2012年12月号)