日経グッデイ

体の滞りと心の凝りをとる ヨガ式自然呼吸ストレッチ

森の木々になりきって揺れ 心の凝りをとる 「樹木呼吸法」

STEP2 イメージを働かせる

 呼吸を浅くしているのは、体の凝りだけではない。「心の凝り」も、深い呼吸を妨げている。

 例えばあなたが、どうにも苦手だと感じている人と話をする様子を思い浮かべてみよう。想像するだけで、胸やお腹の奥の方がギューッとイヤな感じに凝り固まってこないだろうか。

 こんなふうに、心の中に不快な感情のしこりがあると、筋肉だけをほぐしてもなかなかリラックスできないことがある。こういうのが「心の凝り」だ。

 ストレスフルな現代では、だれでも何かしらそんなしこりを抱えている。それをほぐすのが「樹木呼吸法」。1本の木になった気分で、枝を広げたり、風に揺られるように体を動かす。

 「なぜそんなことが効くの?」と思うだろうけれど、とにかく動きをまねしてみて。なるべくゆっくりと柔らかく動くのがコツ。繰り返しているうちに何となく「自分が木になったような気分」という感覚が、ふっとつかめるかもしれない。それが樹木呼吸法のポイントだ。

 「自然の樹木をイメージすることで、実際に自然に触れたときのようにリラックスできる」と、龍村ヨガ研究所所長の龍村修さん。そういうイメージ力を育てるのが目標だ。

 「慣れてくれば、満員電車の中でも青空をイメージしてゆったりくつろげる」(龍村さん)。そんな境地を目指して、取り組んでみよう。

メソッド7 小さな双葉をイメージしながら、発芽のポーズ

 地面に埋まった種が、ゆっくりと根を伸ばし、小さな双葉が生えてくる様子をイメージして。体の力を抜き、リラックスして体を自由に動かしていこう。

(1)根が生えていく様子をイメージしてみよう
おへその下あたりにある種が、地中に向かって根を伸ばす様子をイメージしながら、ひざを曲げ、手をゆっくりと柔らかく下ろし、息を吐く。
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(2)息を吸いながら伸びる双葉をイメージ
手を下ろしきったら、今度は伸びる双葉をイメージして両腕をふわーっと上げ、ゆっくりと息を吸う。これを5~10回ほど繰り返す。
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メソッド8 太陽をいっぱいに受ける 枝が広がるポーズ

 双葉から大きく育ち、枝を広げる樹木をイメージする。太陽の光をいっぱいに受け、すみずみまで水や養分が行き渡っている様子をイメージしながら、深く呼吸していく。

(1)深く広く さらに根を広げる
息を吐きながら手のひらを下へ下ろし、地面の下へ太く強い根が伸びている様子をイメージする。腕を左右に軽く広げて。ひざを軽く曲げる。
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(2)根から水を吸い上げ、太い幹になる
息を吸いながら、腕をゆっくりと胸あたりまで持ち上げる。根から水や養分を吸い上げ、太く強い幹になるようなイメージで行う。
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(3)枝を左右に広げ、太陽の光を受ける
息を吸いながら、腕を左右に広げ、大きな木をイメージしてみよう。吸いきったら、再び吐きながら根をイメージ。5~10回繰り返して行おう。
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メソッド9 しなやかに揺れる 風に吹かれるポーズ

 大きく育った樹木が、風に吹かれて左右に大きく揺れるイメージで動いてみよう。体の力を抜いて自由に動いてみると、体の滞りや心の凝りが見えてくるはず。

(1)深く根を張った大きな木
息を吐きながら、軽くひざを曲げて、手のひらをゆっくりと下ろす。足が根。胴が幹。腕は枝というイメージで、木になりきる。
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(2)腕を伸ばして伸びる木をイメージ
息を吸いながら腕を上へ伸ばしながら、枝の広がりをイメージしてみよう。足は根なので、しっかりと踏みしめたままで。
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(3)風に吹かれて大きく揺れる枝
両腕と上半身を左右に大きく揺らしてみる。風に吹かれた木の様子をイメージして、体を揺らしながら息を吐いていく。一息吸って反対側へ。
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(4)形にとらわれずに自由に体を動かす
左右だけではなく、前、後ろ、斜めと、風に吹かれた木になりきって、気持ちいいと感じる方向へ自由に揺らしてみよう。5~10回繰り返す。
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次回は、お相撲さんでおなじみの「四股」と「蹲踞」のポーズで心身を安定させる方法をご紹介します。


(構成・取材・文:永井紗耶子/写真・スタイリング:Nine Lives/ヘア&メイク:依田陽子/モデル:美帆/デザイン:近江デザイン事務所)

龍村 修(たつむら おさむ)さん
龍村ヨガ研究所所長
龍村 修さん 1948年生まれ。早稲田大学文学部卒業。85年、沖ヨガ修道場長を経て94年独立。ヨガと呼吸法の指導を30年以上続けている。わかりやすくて奥が深い解説に定評がある。

(出典:日経ヘルス2010年2月号)