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「酒はあきらめられない。だから、ラーメンはあきらめた」 ―俳優・石原良純さん

~GoodayTalk&Clinic 石原良純流・多忙な人のためのベストコンディションの作り方【前編】

12月14日に開催された「日経GoodayTalk&Clinic」の第3弾は、カンファレンスルームが満席になる人気ぶり! 9月にも登壇し大好評を博した東海大学医学部教授の川田浩志さんと、日経Goodayの『石原良純の「日々是好転! ときどきカラダ予報」』連載でもおなじみ、俳優で気象予報士の石原良純さんが、多忙なビジネスパーソンにも役立つ「ベストコンディションの作り方」についてトークを繰り広げました。BSジャパン「モーニングプラス」メーンキャスターの榎戸教子さんが進行役を務め、笑いと熱気あふれる時間となりました。

12月14日に日経カンファレンスルームで開催された「日経GoodayTalk&Clinic」には、仕事帰りのビジネスパーソンなどが集まり、会場は満席になった。
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ベストコンディションは「人生を楽しむ」ことで維持できる

まず、オープニングトークで川田さんから、「ベストコンディションを維持するメカニズム~仕事のパフォーマンスを向上させるためのちょっとしたヒント~」と題して、コンディションを維持するために大切なポイントについて語っていただきました。

 川田浩志さんは、血液腫瘍内科での診療とともに抗加齢医学の普及にも注力し、自らも日々アンチエイジングの実践を行うパワフルな医師です。

 「私は、常に科学的根拠に基づいたお話をします。9月にここでお話したときは60枚のスライドを用意してスタッフのみなさんに心配されたのですが、今日はせっかくなので90枚! みなさん、ついてきてくださいね(笑)。今日もきっと、みなさんに喜んでいただける、いいお話ができると思います!」(川田さん)

 分厚い配布資料とともにいきなりポジティブパワー炸裂の川田節に、スーツ姿の参加者の表情が一気にゆるみます。

 川田さんが研究する抗加齢医学は、“元気で長寿を享受すること”を目的とする実践的な医学。

 「老化を目前にした中高年が関心を持つ分野、というイメージが強いかもしれませんが、じつは医学部1年生にとっても関心が高い分野なんですよ」(川田さん)

 この日のテーマは「ベストコンディションを維持して健康寿命を延ばす」。いつもに増して慌ただしい師走、疲労がたまって「体が重い、頭も働かない。どうやったらベストコンディションを維持できるのか…」と悩んでいる働き盛り世代も多いでしょう。川田さんご自身も50歳の働き盛り。提示する結論はずばり「人生をもっと楽しむこと」。その根拠はというと…?

あなたの「人生楽しみ度」をチェック!

 「2009年に『Circulation』という医学雑誌に掲載されたわが国の研究報告がここにあります。『人生を楽しんでいますか?』という、たった1つの質問に答えてもらい、その後の健康状態を調査した。イエスと答えた人は脳卒中・心臓病による死亡リスクが半分程度だった、という驚きの事実が発表されたのです」(川田さん)

 海外の研究においても、「人生楽しみ度(=Enjoyment of Life:EOL)」を判定し、8年後の身体機能を比較したところ、「人生楽しみ度が高いと寝たきりになりにくい」「死亡リスクが下がる」といった報告が続々と発表されているそうです。さて、みなさんの人生楽しみ度はどうでしょう。簡単なチェックなのでぜひ、やってみてください。

1. まず、以下の4つの各項目について「まったく自分には当てはまらない」という場合を0、「ほぼあてはまる」場合を3として、0~3の数字をメモしてください。

 (1)自分がすることを楽しんで行っている
 (2)他人といることが楽しい
 (3)振り返ってみると自分の人生は幸福だ
 (4)最近エネルギーに満ちているように感じる

2. 次に、4つの項目について選んだ0~3までの数字を合計してください。

3. 合計の数から、あなたの今の人生楽しみ度がどれに当てはまるか選んでください。

人生楽しみ度数字の合計
高い12
中くらい10~11
低い9以下

幸福度が高くなると若返りホルモンが出る!

 人生を楽しむことが大切なのはわかった、けれどそれがどう健康につながっていくのか? その疑問について川田さんは、研究データをひもときながら、次のように説明します。

  • 人は幸福度が高くなるほどよく動くようになり、行動範囲が広がる
  • 積極的に体を動かすと、内分泌器官である筋肉からさまざまなホルモンやサイトカインが分泌。脂肪組織や膵臓などに働きかけ、代謝アップ!
「喜びや満足、達成感といったポジティブ感情を経験すると、やりたいことや、実際にやることも増えていきます。好循環を繰り返すことによって身体的、精神的にもよりいい状態になっていくのです」(川田さん)
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 さらに川田さんは、心理学の世界で有名な「拡張-形成理論」についても解説します。

 「喜びや満足、達成感といったポジティブ感情を経験すると、やりたいことや、実際にやることも増えていきます。すると、その行動や経験を通じて、柔軟性や問題解決能力、より健康な身体、新たな人脈などが手に入り、好循環を繰り返すことによって身体的、精神的、社会的にもよりいい状態になっていくのです。私も、この本、本当に書けるだろうか、大勢を前にして話す機会はあるだろうか、と思ったりすることもあるけれど、それでも勇気を持って一歩前に行動するように心掛けていると、たいがいのことはできるようになっているなぁと実感します」(川田さん)

 人生を楽しむ秘訣として、今後さらに注目が高まっていくとされるキーワードが 「マインドフルネス」 。グーグルやインテルといった企業では社内研修でも用いられ、あのスティーブ・ジョブスもプレゼン前に実践していたという方法です。

 「呼吸に集中して、ただただ『今を生きる』『今に集中する』。最初は3分行うのですら難しいと感じますが、これを習慣にすると、(1)注意集中力、(2)身体感覚感知力、(3)情動調節力、(4)メタ認知能力(状況を一歩引いて客観しする力)が向上し、脳を変えていくことができます。私も、日々の外来の前や、今日のような講演の前に行っています。マインドフルネス、今後伸びていくジャンルです。みなさんもぜひ注目してください!」(川田さん)

 この他、講演では「飲酒量も喫煙習慣も禁煙の成功も肥満になるかどうかも、あなたの人間関係次第」という、思わず「へー!」と言いたくなる研究結果も紹介されました。

 「ハーバード大学で2000人を対象に行われた研究です。 不健康は感染する。あなたの無二の親友が肥満なら、あなたは確実に肥満になるのです。 このように、本人の行動や意識は、無意識のうちにまわりの人から影響を受けた結果、決まっていることが多い。だからダイエットはまわりの人を巻き込んで行うのがポイントです。ポジティブ思考も周囲をまきこむこと。そして、あなたが幸福度を高めたいときには幸福な人にくっつくといいんですね!」(川田さん)

 30分という枠の中で、90枚のスライドを見事に語り尽くした川田さん。その話術に引き込まれた会場からは、大きな拍手が起こりました。

<Talkセッション> 「石原良純流 多忙な人のためのベストコンディションの作り方」〈食事のコントロール編〉

続いて会場には、俳優で気象予報士の石原良純さんが登壇。テレビで拝見するままのエネルギッシュな姿に、会場も「わーっ」と盛り上がります。BSジャパン「モーニングプラス」のメーンキャスターを務める榎戸教子さん、川田さんとともにトークが始まりました。

セミナー後半のTalkセッションには、俳優の石原良純さん、BSジャパン「モーニングプラス」のメーンキャスターを務める榎戸教子さんも加わった。榎戸さんがモデレーターとして、石原さんに素朴な疑問を投げかけていきます。
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榎戸さん 「石原さん、はじめてお目にかかりましたが、背が高いんですね!」

石原さん 「はい、父を超えたのは背の高さだけだともっぱらの評判です(笑)。実は一時期、身長181cmを切っていたのですが、ストレッチを続けていたら4mm伸びました!」

榎戸さん 「それはすごいですね。さて、川田先生のお話でも、運動と食事とメンタル、この3つが大切というお話がありました。まず食事のお話から石原さん、なにか心掛けていらっしゃることはありますか?」

石原さん 「朝のワイドショーで『アカデミヨシズミ』というコーナーを担当していて、3年間病院をまわって豆知識を仕入れてきましたから、川田先生を前にしてあれなんですけど、けっこう科学的ですよ! たとえば、ベジファースト。でも先生、あれ、本当にいいんですか?」

川田さん 「はい、実際に血液検査を行うと、血糖値の上昇が緩やかになります」

「食事は2割残す」で食べ過ぎを予防する

石原さん 「糖質オフも話題ですよね。でも僕はそれ、無理です。なんといっても好物が日本酒とフルーツ。糖質の親分みたいなもんですからね!(会場笑い)だから糖質オフはできない。じゃあどうするか、ということで実践しているのが『2割残す』というやり方です。たとえすごく美味しくても、2割は残すと決めるんです」

「僕は『2割残す』というやり方を実践しています。たとえすごく美味しくても、2割は残すと決めるんです」(石原さん)。「それはとてもいいことですね。本人が『腹八分でおさえた』と思って胃を造影してみると、意外とお腹の中は満タンであることが多いんです」(川田さん)
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榎戸さん 「先生、石原さんのこの方法、いかがでしょうか」

川田さん 「とてもいいことだと思いますよ。腹八分目、というけれど、実際に本人が『腹八分でおさえた』と思って胃を造影してみると、意外とお腹の中は満タンであることが多いんです(会場どよめき)。満腹感は遅れてやってきますから、なかなか自分の感覚で腹八分におさめるのは難しいんですよ」

 自分の感覚よりも見た目で判断して食事量をコントロールする、という石原さんのやり方は、正解だったようです。

「人に言われても腹が立つ。健康法は自分で決めるのが一番」

 何本ものテレビ番組へのレギュラー出演に加え、舞台や映画など不規則かつ多忙をきわめる石原さん、なかなか食生活をコントロールしにくいのでは、と思いますが、ご自身でただ一つ決めていることがあるそうです。

石原さん 「僕は20歳そこそこのときに、ラーメンを食べるのはやめよう、と決めたんです。先輩に誘われて断れなくておつきあいすることもありますが、この業界に30年以上いて、ラーメンを食べたのは10回くらいですね」

榎戸さん 「石原さん、なぜ、ラーメンを食べないことに決めたのですか?」

石原さん 「そりゃあ、あれですよ。いずれハリウッドとかに呼ばれたときに、『デブはダメデース!』と言われないためです(笑)。体重が増えたな、と思ったときに何をあきらめられるか。僕は酒はあきらめられない。じゃあ何にするかと思ったとき、猫舌だから、ラーメンはいいや、と決めたんです」

「僕はラーメンを食べるのはやめよう、と決めたんです。この業界に30年以上いて、ラーメンを食べたのは10回くらいですね」(石原さん)
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 もう一つ、石原さんが6年来続けているのが、カレンダーを使い「禁酒日に☆マークをつける」というものです。

 「一週間に1つは☆をつけるように意識してきました。でも年末年始はどうしても酒席が増えるから、どのあたりに☆を持ってこようか、苦労しますね。でも、マラソン前はお酒は飲まないことにしているし、自分なりにやってくるうちに平均で年間70~80個ぐらい、多い年には120個の☆マークがついたこともありますよ」

川田さん 「素晴らしい自己コントロール力ですね!」

石原さん 「僕の場合は、決めたことは守る、と自分で決めるんです。人に言われると腹が立つし、お医者さんに言われてもやめられない。自分で決めるのが一番いいかな、と思うんです」

 とはいえ、飲む日にはワインなら1本、日本酒なら4合を飲むという酒豪の石原さんに、川田さんがアドバイス。

川田さん 「飲み過ぎたらとにかく、お腹がガボガポになってもいいから水を飲むこと。チェイサーの水と交互に飲むよう心掛けると二日酔いしにくいですよ」

 12月25日公開の後編では、石原さんも実践するマラソンの話、さらには職場でも実践できそうな石原さんのメンタル術まで、盛りだくさんにお届けする予定です。お楽しみに!

(まとめ:柳本操=ライター/撮影:竹井俊晴)

川田浩志さん
東海大学医学部血液腫瘍内科教授
川田浩志さん 東海大学医学部内科系大学院修了後、米国サウスカロライナ州立医科大学ポストドクトラルフェローを経て、現在に至る。内科診療とともに抗加齢医学の普及にも力を入れ、東海大学東京病院抗加齢ドックならびに東海大学ライフケアセンターの立ち上げに参加。現在は海老名メディカルサポートセンターのアンチエイジング ドック顧問も兼任している。自らがアンチエイジング実践派という本領を発揮しての生活指導には定評があり、講演依頼やTV・ラジオ・雑誌などからの取材も多い。日本内科学会認定総合内科専門医・指導医、日本血液学会認定専門医・指導医・評議員、日本抗加齢医学会認定専門医・評議員、日本再生医療学会評議員、米国内科学会・血液学会のインターナショナルメンバー。 受賞歴:東海大学総長賞(松前重義賞学術部門)など。
石原良純(いしはら よしずみ)
俳優・気象予報士
石原良純(いしはら よしずみ) 1962年1月15日生まれ。神奈川県逗子市出身。慶応義塾大学経済学部卒。テレビ、舞台、映画など幅広く活躍。趣味はマラソン。自宅から10キロ先の所属事務所まで走って通うことも。