社内実施担当者必見! 「ストレスチェック」の疑問に答えます
中小企業における「ストレスチェック」のより良い運用と活用を考える(後編)
氏家裕子=ライター
同じような内容ですが「高ストレス者の面接をしたことは社内であまり知られないように配慮が求められる中で、適切なフォローを行うためにはどのような点に注意配慮したらいいか。また、対象者との面接内容はどの程度共有してもらえるのか」という質問が来ています。
奥田さん 面接の手挙げがあった時点で、メンタルヘルス系の面接と考えていただいて問題ないかと思います。そういう方の情報共有は人事と所属長レベルまでで抑えておくのが基本で、一般の同僚の方には行かない、わからないような形にします。もし残業制限などの就業制限を現場で実施するときには、一般の同僚の方には「○○さんの体調が悪いため、会社の決定で、調子が回復するまで一時的に勤務を軽減することになった」程度の説明でよろしいかと思います。しっかりと産業医、保健スタッフ、人事関係者、上司あたりで連携し、その方に対するフォローを検討し、就業制限などがかかった場合は現場で確実に実施できるようにケアしていくべきです。
ご本人に対しての守秘義務を守るためには、面接する際に、私の場合は「今からお話しする内容は会社にお伝えします。でも伝えてほしくない内容はその都度言ってください。そうすればそこはお伝えしません」とあらかじめ面接の際にお話ししています。会社にはご本人が言わないでほしいと言った内容は伏せてフィードバックしますが、もしどうしても伝えなければならない重要な内容の場合(就業制限を要する病気で通院中など)はご本人にその理由を説明して同意していただくことに努めます。
システムの見極めをしっかりと
では次に行きます。「外部に委託してストレスチェックを実施しましたが、委託先をコスト面だけで選定しないように働きかけるにはどうしたらいいですか」という内容です。
宮川さん 内容と価格のバランスは難しいですが、安くてもここまでできるというものもあれば、安いからここまでしかできないというパターンの両方あるので、どこまでの対応ができるのかを見極めることが大事です。実施者の先生も含めて、自分たちで運営をしていける知識がある場合は、そのあたりの見極めができると思いますが、実はそこが難しい。とくに中小企業さんの場合は専門人材がいない実態が多いので、いくつかの業者に確認し、しかるべき知識や経験のある人材を抱えているところを使って、ツールや仕組みだけでなく、集団分析や運用面を含めたトータルで見極めをしてもらったらいいと思います。
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