早期検診でがんや糖尿病、認知症に先制パンチを!
「生活習慣から健康寿命を科学する」と題して京都で講演会
竹林篤実=ライター
健康寿命延伸に期待の食成分「エクオール」
さて最後は、「健康寿命獲得の一助として注目されている」というスーパーイソフラボンとも呼ばれるエクオールについて。
イソフラボンといえば、大豆に含まれる栄養素。大豆には他にもタンパク質、レシチン、オリゴ糖を含む健康食品の優等生。大豆タンパク質には、コレステロールや中性脂肪の低下作用、肥満改善効果がある。大豆レシチンは、脳の老化を予防する効果、大豆オリゴ糖は腸内の調子を整える作用がある。大豆イソフラボンは、植物性の女性ホルモンともいわれ、骨密度の維持や更年期症状の緩和、美肌効果にメタボ予防効果などがある。男性に対しても前立腺がん予防や育毛効果などが注目されているのだ。
ただしこのような大豆イソフラボンの効果は、腸内でエクオールという物質に代謝されなければ発揮されないことがわかってきた。エクオールが女性ホルモンと似た構造なので女性ホルモンに似た働きをしてくれる。問題は、大豆イソフラボンをエクオールに変える能力(代謝できる腸内細菌)を持つ女性が減っていることなんだとか。
「もともと日本人は、欧米人に比べてエクオールを作る能力を持っている人が多く、全体の5割から6割でした。ところが、最近の若い世代では3割程度に減っています。このままだと、今の若い女性たちが更年期を迎える頃には、更年期障害や骨粗鬆症に悩む人が今以上に増えるおそれがあります」と、吉形さんは警告する。
エクオールの効果には、テレビや雑誌も注目するようになり、さまざまな番組で取り上げられたり、雑誌で特集が組まれたりするようになった。エクオールを体内で作る力があるかどうかは尿検査などで分かるという。
「だから、エクオール産生能力のある方は、大豆食品の摂取を意識して。仮に産生能がない場合も大豆摂取は身体によいこと。またエクオールのサプリメントを摂取することで、女性に限らず男性も健康寿命を伸ばす助けになることでしょう」と、吉形さんは対処法を示すことで講演をまとめた。
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