早期検診でがんや糖尿病、認知症に先制パンチを!
「生活習慣から健康寿命を科学する」と題して京都で講演会
竹林篤実=ライター
8月18日、京都新聞文化ホールで「生活習慣から健康寿命を科学する」と題した講演会(京都新聞主催)が行われました。講演は3部構成で、講演1では「更年期医療と日本初のエクオール検査」をテーマに医療法人社団ミッドタウンクリニック特別顧問の吉形玲美氏が、講演2では「糖尿病・認知症予防に向けた先制医療」をテーマに京都大学医学部附属病院 先制医療・生活習慣病研究センター特定教授・福島光夫氏が、それぞれ講演を行い、その後、パネルディスカッションが行われました。その模様をお伝えします。
女性特有のがんは年齢が上がれば死亡率も高まる
まず、ミッドタウンクリニック特別顧問の吉形玲美さんが演台に立った。
「更年期からどのような健康管理をするかということが、女性の健康寿命を伸ばすこと、そのものなんです」と、吉形さんは会場に集まった参加者に向って、こう語りかけました。
この「健康寿命」という言葉はご存じだろうか。健康上の問題がない状態で日常生活を送れる期間のこと。いくら寿命が伸びても、寝たきりでは「健康」とは言えない。
吉形さんが健康寿命のスライドを示して説明する。男性の場合は、平均寿命が80.2歳で健康寿命が71.2歳。差し引きすれば、健康ではない期間が9年あり、平均寿命の約9分の1に相当。一方、女性は不健康な期間が約12年と平均寿命の約7分の1を寝たきりや要介護で過ごすことになる。比率としては、女性のほうが健康寿命が短い。
では、そんな女性の健康管理をどう考えればいいのか? 「閉経前の婦人科特有の病気と、更年期以降の生活の質に関わる病気に分けて考えることが重要」(吉形さん)とのこと。
婦人科特有の病気について、吉形さんが指摘する。
「現代女性は、昔の女性と比べて、出産回数が減ったために、月経のある時期が長くなっています。排卵数が増え、ホルモンが過剰に影響するようになったことも、婦人科の病気が増えている一因でしょう」。
さらに食生活などライフスタイルの変化により、乳がん、子宮体がん、卵巣がんは増えており、ウイルス感染によって発症する子宮頸がんも、性交年齢の低年齢化により増えているという。いずれのがんも年齢が上がるほど死亡率が高まるので、生涯にわたってがん検診を受けることが必要と吉形さんは力説した。適切な検診を行うことで、予防や早期発見による治療は可能だという。
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