高血圧を「一病息災」にする6つの基礎知識
持病がある人の方が、体に気を付けて健康的な生活を送るようになるため、病気がない人よりも長生きする─。この「 一病息災」を目指したい病気の一つが高血圧。患者数は4300万人と推定されていて、うち 1260万人は40歳から59歳の働き盛り世代です。日経Goodayに掲載された記事の中から、高血圧があっても長生きするために知っておきたい6つの基礎知識を紹介します。
【1】病院では分からない「仮面高血圧」が怖い!

高血圧の人の割合は、40代男性では約30%ですが、 50代になると約63%と倍以上に跳ね上がります。女性では、女性ホルモンの関係で更年期以降に高血圧が増加します。
高血圧にはさまざまなタイプがあり、健康診断などで医師や看護師に測ってもらう血圧値は正常なのに、自宅などで自分で測定すると高い血圧値が出る「 仮面高血圧」もその一つ。職場健診などでは「要精査」とならないため、高血圧であることが分からず、治療開始が遅れてしまう点が大きな問題となっています。
※仮面高血圧の3タイプやストレス性の高血圧について詳しく知りたい方は、「高血圧は40代以降を襲うサイレントキラー」をご覧ください。
【2】高血圧でテニスコート6面分の「血管内皮細胞」にダメージ

血圧が高い状態を放置していると、体内では恐ろしい変化がゆっくり、しかし確実に進みます。内皮(ないひ)細胞という、血管の健康を保つために必要不可欠な組織が不具合を起こすのです。
血管の壁は3層構造になっていて、内皮細胞は、その一番内側の、血液と接触する面を構成しています。広島大学未来医療センター長で心血管再生医学教授の東幸仁氏によると、 血管から内皮細胞を取り出して広げると、テニスコート6面分の面積になるとか。内皮細胞が傷つくと、血圧が上がりやすくなるだけでなく、血管が突然詰まって心筋梗塞や脳梗塞を起こすリスクも高まります。
※血管の健康を守っている内皮細胞の働きについて詳しく知りたい方は、「高血圧は『血管ボロボロ』の主犯」をご覧ください。
【3】生活習慣を変えると、上の血圧なら10mmHgは下げられる
「公的年金の支給開始年齢は65歳。社会情勢によっては更に先になる可能性もあります。今の働き盛りは、それまで元気で働かなければなりません」。こう指摘するのは、東北労災病院(仙台市青葉区)の高血圧内科部長、宗像正徳氏です。
歳をとっても元気で働くため、働き盛り世代が一番注意すべきなのは「血圧の管理」だと宗像氏は言います。そのための生活改善として、まず行うべきは 減塩。1日の摂取量を1g減らせば、上の血圧が1mmHg下がるという研究もあり、 減量、運動、節酒、禁煙などをプラスすれば上の血圧を10mmHg下げることも可能だそうです。
※働き盛り世代に無理なく実行できる、生活改善の「コツ」について詳しく知りたい方は、「耳にタコ?でも生活改善は血圧を下げる」をご覧ください。
【4】血圧に効く!3大ミネラルとは
日本人の高血圧の3分の2は、塩のとり過ぎが関係しているとされています。悪さをしているのは、塩(塩化ナトリウム)に含まれるナトリウム。そのため、 ナトリウムを体の外に追い出す作用を持つ、あるミネラルを積極的に取ることが大事です。さらに、 血管の収縮・弛緩を調節する2つのミネラルも、血圧が高めの人には大切になります。それら3つのミネラルとは…。
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