俳優の渡辺謙さんが手術した胃がん、早期発見のポイントとは?
手軽に受けられるABC検診でピロリ菌の感染をチェック
胃がんの原因「ピロリ菌」の感染をチェック
胃がんは現在、日本人がかかりやすいがんの1つとなっていますが(世界の胃がんの80%は東アジアで発生)、その大きな要因には、“がん年齢”と呼ばれる60代以上の人の80%程度がピロリ菌に感染していることが挙げられます。
日本におけるピロリ菌感染率は、20代で10%以下、30代で15~20%ですが、50代だと50%以上程度に跳ね上がります。高齢者ほど感染率が高いのですが、原因は加齢ではありません。その人が生まれた時代の衛生状況によります。
ピロリ菌の感染ルートは水であるとされ、上下水道が完備していなかった時代、つまり今の50歳以上の人が幼かったころはピロリ菌に感染しやすい環境でした。しかし今の日本では、ピロリ菌は自然界には見つからず、人間の胃の中にしか存在しません。日本人のピロリ菌感染率は、限りなくゼロに向かって進んでいます。
ピロリ菌の検査は、(1)血液や尿に含まれる抗体を調べる検査、(2)検査薬を服用した後に息の中に含まれる成分を調べる検査、(3)便の中の抗原を調べる検査、(4)内視鏡で直接胃の粘膜を採取して調べる検査―に大別されます。
自治体などで行われる胃がん検診に、最近は「胃がんリスク検診(ABC検診)」が導入されつつあります。この検診では、血液検査によってピロリ菌への感染を調べ、胃の萎縮があるかどうかも分かります。下表の通り、A~Dの4段階で胃がんになるリスクを判定します。
ABC検診を受けられる医療機関は、「日本胃がん予知・診断・治療研究機構」のWebサイトで調べることができます。
⇒胃がんリスク検診の詳細やピロリ菌の除菌についての詳しい解説は、名医が解説!最新治療トレンド「胃の一生はピロリ菌に感染しているかどうかで決まる」をご覧ください。