ワクチンって効くの? インフルエンザの素朴な疑問6問6答
今シーズンのインフルエンザの傾向から、かかった時の対策まで
武田京子=医療ライター
Q2. インフルエンザワクチンって効くの?

既に流行が始まっているインフルエンザだが、どのように予防したらいいのだろうか。「やはり、予防にはインフルエンザワクチンの接種が大切です。感染が広がってからでは意味がないと考える人もいるようですが、間に合います」と菅谷先生は強調する。
インフルエンザワクチンは、WHO(世界保健機関)がその冬に流行するインフルエンザウイルスの種類を推定し、それに基づいて製造される。インフルエンザワクチンはA型のH1N1型、香港型、B型2系統の計4種類のインフルエンザの混合ワクチンになっており、下記で解説する通り、50%の予防効果があると考えられる。
「インフルエンザワクチンの効果は、症状の重症化を防ぐだけで、発症は防げないと思っている人も少なくないようですが、それは間違い。ワクチンの第一の効果は発病予防にあります。要するにインフルエンザにかからなくなるのです。それによって、周囲の人へ感染が広がる『集団感染』を防ぐ効果もあり、さらに重症化を防止する効果も期待できます」
ただし、ワクチンの効果は実感しにくい。
「インフルエンザが流行しても、成人では100人中10人程度しか発病しません。つまり、ワクチンを打たなくても90人はインフルエンザにはかからないのです。もしも、100人全員がワクチンを打つと、10人の発病者が5人に減ります。これが50%の効果で、インフルエンザにかからない人は、90人から95人に増えますが、この差は実感できません。ですから、医師も含めて多くの人々がワクチン効果に不信感を持ちやすいのです。しかし、1000万人に換算すれば、100万人の患者発生が50万人に減ればとても大きな効果であることがわかります」(菅谷先生)
このように、ワクチンはインフルエンザ対策の強い味方だが、実は今期は少し様子が違う、と菅谷先生は話す。というのは、今期流行しているA香港型は、昨シーズン主に流行したH1N1型などに比べて、ワクチンの効果が低いタイプのウイルスだからだ。実は、ウイルスの型によってワクチンの効果にはかなりの違いがあるのだという。
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