日経グッデイ

トピックス

医師2887人に聞いた「患者と恋に落ちるのってアリ?」

患者との恋愛、半数超の医師が「避けるべき」

 田島健=日経メディカル

 クリスマス直前。恋人たちが愛を語り合う季節がやってきました。

 今回の「医師1000人に聞きました」は、そんな甘い雰囲気が漂う季節だから、というわけでもないのですが、「患者さんとの恋愛についてどう思いますか」という意識調査を行ってみました。

 この質問、Yes/Noで聞いてしまうと、「どちらかといえばNo」を含めて、ほとんどが「No」になってしまうことが想像されましたので、今回は選択肢をたくさん作り、できるだけ答えがばらけるように工夫してみました。

 まずは、設問2についての回答分布です。回答者数は2887人。設問は「医師の立場で出会った患者さんと恋愛関係(相思相愛の関係)になることについて、どう思いますか。ご自身のお考えに最も近いものを1つだけお選びください」です。

 選択肢は7つ。「患者と恋愛関係になるなど、考えられない」の厳格否定派から、「患者が相手であることは全く問題ない」の全面容認派まで、段階的にグラデーションをつけました。一つだけ、異質な「その時点で医師と患者の関係になければ、許されるかもしれない」という選択肢は、事前ヒアリング(n=1)の意見を反映させたものです。

[画像のクリックで拡大表示]

 結果は、上のグラフの通り。やはり青系の色で示した「避けるべき」派の方が多く、全体の3分の2を占めました。

 自由意見については、次ページで詳しく紹介しますが、先に代表的な意見をいくつか紹介しておきます。まずは、「避けるべき」派のご意見から。

・患者として対面した時点から、相手は治療すべき対象となります。その相手を女性として、恋愛の対象として意識する、などということはあり得ません。それだけは最低限のモラルとして医療を行ってきました。(50歳代男性/一般外科)

・プロ失格。同等な立場でこそ恋愛は成立する。圧倒的な優位性のある医者が患者に手を出したら、精神科医なら除名が当然。(50歳代男性/精神科)

 そして、「仕方がない」派のご意見です。

・医者である前に、人間だから仕方ないと思う。もしも患者でないシチュエーションで会ったら、何の抵抗もなく恋愛におちいった可能性が高いわけでしょうから。(60歳代男性/消化器内科)

・好きになったのがたまたま患者であっただけ。もちろん、他の患者の前で、私的な会話や行動をとるのは論外。医師の立場を利用して、相手に不利益なことをするのも論外。(60歳代女性/麻酔科)

女性と若手に「厳格否定派」が多い?

 男女差があるかどうかを見たのが、下のグラフです。女性医師の回答では「患者に恋愛関係になるなど、考えられない」の厳格否定派が36.6%と飛び抜けて多く、代わりに「患者が相手であることは全く問題ない」「相手が患者であっても、さほど気にする必要はない」といった容認派は少なくなっています。

[画像のクリックで拡大表示]

 そして、この結果を、回答者の年齢別に見てみると、下図のように、若手医師の方が総じて禁欲的(?)な傾向にあることが分かりました。

[画像のクリックで拡大表示]

 ちなみに、同じアンケートの設問1では、「これまで、医師の立場で出会った患者さんと恋愛関係(相思相愛の関係)になったことはありますか」を聞いています。「ある」を選んだ医師は129人で、全回答者の5.0%。男女別に見ると、5.1%と4.3%で男性の方が若干多く、年齢別に見ると、年を重ねるごとに患者との恋愛経験がある医師の割合が増えていく傾向にありました。

設問2「医師と患者の恋愛は…」に
「患者と恋愛関係になることなど、考えられない」
と回答した医師の自由意見

・今までにそういう気持ちになったことがないので、考えられない。そんな対象としては見ていない。(30歳代女性/一般内科)

・診療科や疾患にもよるのだと思いますが、精神科的には、禁忌に近いと思っています。(40歳代男性/精神科)

・患者を異性として捕らえられません。(30歳代男性/代謝・内分泌内科)

・患者から付きまとわれて迷惑だったから。(40歳代男性/消化器内科)

・商品に手を出してはいけないと思う。(50歳代女性/整形外科)

・今まで考えたこともない。全くナンセンス。(50歳代男性/一般内科)

・そこまで異性に対する執着があるのは、医師としてどうかと。(50歳代男性/整形外科)

・同性なので対象にならない。(30歳代女性/産科・婦人科)

・そういう目で診ていること自体ありえない。(30歳代男性/循環器内科)

・眼科はご高齢の方がほとんどなので、そういう考えで患者さんを見たことがない。(30歳代女性/眼科)

・倫理的におかしい。(50歳代男性/整形外科)

設問2「医師と患者の恋愛は…」に
「避けるべき。そうならないように配慮/努力すべき」
と回答した医師の自由意見

・ややこしいことになります。(50歳代男性/整形外科)

・恋愛関係に限らずプライベートなことを仕事に持ち込むべきではない。仕事の延長として恋愛に発展すると失敗したときに仕事にも影響がある。(30歳代男性/小児科)

・立場の違いを利用してはならない。(30歳代男性/循環器内科)

・罠にかかる可能性も十分ある。(60歳代男性/一般内科)

・好意を抱く人がいないわけではないが、医師患者関係が崩れて、信頼性を損なう可能性が考えられるから(40歳代男性/総合診療科)

・医者は医者だし、患者は患者である。そこに恋愛感情が入れば、何かトラブルがあった時に必ずこじれるし問題になると思うので、そのような関係になるのは避けるべきだと考える。(30歳代男性/神経内科)

・異性として患者に接すること自体に問題がある。性の対象として接していないからこそ、患者も身体を見せることができるのではないかと思う。(40歳代男性/泌尿器科)

・あくまで医師と患者は契約関係であり、そこに私的関係を持ち込むべきではない(30歳代男性/その他の診療科)

・医師としての信頼関係には、リスクが大きい。社会的立場を考えれば、軽率な行動でしかない。(30歳代男性/その他の内科系専門科)

・いわば仕事中に私的な感情が入り、冷静で公平な判断ができなくなる恐れがあるから。いわば学校の教師が生徒に恋愛感情を持つようなもので、だめでしょう。(60歳代男性/一般内科)

・なってしまって、後に困った経験をしたから。(50歳代男性/小児科)

・公私混同で周囲に迷惑をかけやすい。どうしても交際したければ、その職場を離れてから。(50歳代男性/循環器内科)

・医師は、本人はもとより家族も極力診るべきではないと考える。理由は、私情が絡むと誤診する恐れが上がるから。同様の理由で、特別な関係の人も極力避けるべきであろう。なってしまったら診ない位のほうがよいと思う。(40歳代男性/一般内科)

・後々のことを考えると絶対に面倒。(40歳代男性/小児科)

設問2「医師と患者の恋愛は…」に
「あり得るとは思うが、意識して避けるようにした方がいい」
と回答した医師の自由意見

・恋愛で最も難しいことは相手を正しくみること(もちろん自分自身も正しく評価すること)であるが、医療行為を仲立ちとした「つり橋効果」のようなものがあり、適切な判断ができないと思われるから。(50歳代男性/一般内科)

・治療関係があるうちは、やめておくべきかな。(40歳代男性/総合診療科)

・際限がなくなるような気がします。(50歳代男性/消化器内科)

・医師としての職業上のモラルです。(50歳代男性/小児科)

・相手の状況が弱い立場にあるから、自制しないといけない。(40歳代男性/小児科)

・患児の母(シングルマザー)から告白されたがお断りした。患者が精神的、肉体的に弱っているときに、つけいるような気がしてしまう。でも、医師も患者も人間だから好みのお相手から言い寄られると断れない場合もあるかも。(30歳代男性/その他の外科系専門科)

・仕事とプライベートとは完全に割り切るべき。そうでないとプロとは言えない。(40歳代男性/その他の診療科)

・答えのない問題であると思います。職業であるまえに一人間ですから。ただ周りへの影響を考えると、立場上避けるのが宜しいかと、私は考えます。(50歳代男性/放射線科)

・白衣を脱いだら、ただのオッサンねと言われたから。(50歳代男性/呼吸器内科)

医療倫理に反するような事態に発展する可能性がある。例えば,薬剤の処方量がいい加減になったり,特殊治療を保険診療として請求したり。(50歳代男性/一般内科)

・危険な香りがします。(50歳代男性/一般内科)

・診療に全く影響が出ないと言い切れないから。(40歳代男性/一般内科)

・やましいところがなくても診療を利用して恋愛にうつつを抜かしていたような印象であまり外聞のいい関係ではない。李下に冠を正さず。(20歳代女性/総合診療科)

・他の患者との間で、治療法等で差が出ることは好ましくない。全ての患者に公平に接するべきだと考えているので、恋愛関係になると難しくなると思う。(50歳代女性/一般内科)

設問2「医師と患者の恋愛は…」に
「ある程度は自制するが、そうなってしまったら仕方がない」
と回答した医師の自由意見

・患者さん(女性)と結婚した先輩医師がいますが、自然な感情ですし、出会いは縁だと思います。(60歳代女性/循環器内科)

・法的には問題がないが人聞きは悪い。(50歳代男性/循環器内科)

・同期に患者と不倫した医師がいます。意外に多いかもしれないですね。医師も恋愛好きな人の割合は、医師以外の人と変わりないと思います。(50歳代女性/整形外科)

・以前に同僚で患者さんとの恋愛を見ているので悪くないとは思っているが難しそうだった。(40歳代女性/小児科)

・本当の意味の恋愛感情と言えない場合があるのでできれば避けるのが望ましいが、なってしまったのなら人間対人間のことで仕方ない。(50歳代男性/耳鼻咽喉科)

・遊びでなければ大変結構なことだと思います。(60歳代男性/消化器内科)

・患者は医師に対し弱い心理的立場になりやすく、フェアではないので避けるべきだが、個人の自由の領域でもあり、バランスを取ってそう考える。(30歳代男性/精神科)

・医師と患者の関係を、恋愛関係のように間違って捉える状況もありうるので、基本的には慎重に行動するべきであると思うが、本当に素晴らしい異性と出会えたならその恋愛関係を否定する必要はないと思うから。(40歳代男性/眼科)

設問2「医師と患者の恋愛は…」に
「その時点で医師と患者の関係になければ、許されるかもしれない」
と回答した医師の自由意見

・病気が治ったうえでなら、まぁ問題ないかと。ただし、自分は精神科なので再発した場合の主治医はできないと思う。(30歳代男性/精神科)

・職務を離れたところでは恋愛は自由だと考えるから。(50歳代男性/循環器内科)

・出会いは突然だから。(30歳代男性/耳鼻咽喉科)

・研修医のころの話。好意をもたれ、その母親からも「デートしてやってください」と頼まれてしまった。母子家庭の人。「いい兄貴分」になって、楽しい思い出を作ってあげました。(50歳代男性/その他の外科系専門科)

・知ってる医師にこのパターンで結婚した人がいるので、特に違和感を感じない。(50歳代男性/一般内科)

・治療中は治療の支障になることが多いと思われるので禁忌。治療関係になければ仕方ないかも。しかし、再び自分では診ないという覚悟が必要。(50歳代男性/精神科)

人間対人間ですから、いろんなことがありうるとは思いますが、一応プロとして節度は必要でしょう。(50歳代男性/総合診療科)

・狭いコミュニティで勤務する場合など、いずれかの段階で医師と患者の関係になる可能性は高いから。(30歳代男性/整形外科)

設問2「医師と患者の恋愛は…」に
「相手が患者であっても、さほど気にする必要はない」
と回答した医師の自由意見

・精神科のように、仕事が恋愛感情と直結しやすい場合はまずいと思うが、それ以外だったら、関係なさそうだ。(60歳代男性/麻酔科)

・公私の区別がついていれば、恋愛は個人の自由。(50歳代男性/一般内科)

・なにが問題なのか、よくわからない。(50歳代男性/消化器内科)

・魚屋と客が恋愛して何が悪いのかわからない。それと同じ。(40歳代男性/その他の診療科)

・知り合いで2組います。看護婦と患者は5、6組います。きっかけは何であっても好きなるものはしょうがないと思います。私の場合は内科なので入院患者さんは対象にはなりませんでしたが整形外科などだったら、ありでしょう。(50歳代男性/総合診療科)

道徳に背くものではないため。(30歳代男性/呼吸器内科)

・患者と相思相愛になれるのであれば、特には問題ないと思う。他の患者と待遇に差が出てくるのは問題であるが。またなんらかの目的で近づいてきている可能性もあるので、本当に恋愛関係にあるのか、別の意図があるのかは慎重に判断しなければならないと思う。(20歳代女性/その他の診療科)

・生徒と先生の恋愛みたいなもの。積極的に避ける理由はない。(50歳代男性/一般内科)

設問2「医師と患者の恋愛は…」に
「相手が患者であることは全く問題ない。通常の恋愛と同列に考えればよい」
と回答した医師の自由意見

・普通に 医療とは関係なく 付き合えれば、問題ないと思う。(60歳代男性/整形外科)

・理由などない。(50歳代男性/その他の診療科)

・恋愛感情ってそういう物ではないでしょうかね、相手が患者だとか関係ないのでは?自分には経験は無いですが。(50歳代男性/循環器内科)

・お互い人ですから。(50歳代男性/整形外科)

・チャンスの一つ?(60歳代男性/その他の外科系専門科)

・結婚しました。(60歳代男性/一般内科)

・医師であることを利用して恋愛に発展する、医療判断に歪みを生じさせるのは許されないが、医療と恋愛を独立して行うのであれば、家族の治療に関与することと同様に問題ないと思う。(40歳代男性/循環器内科)

・きっかけは様々だから。(40歳代男性/救急科)

・教授も患者と結婚した。別に悪いこととは思えない。(40歳代男性/一般内科)

・不倫でなければ自由。(40歳代男性/産科・婦人科)

この記事は、日経メディカル2014年12月22日付け記事からの転載です。