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深刻な健康問題もたらす「ゲーム依存」。なりやすいのはどんな人?

ゲームと病気(上)

 塚越小枝子=ライター

 新しいゲームも次々と登場し、関係するイベントなどプロモーションも際限なく、ユーザーはより面白いものへ駆り立てられやすい。さらに、持ち運びできるスマートフォンによって、いつでも、どこでも、他人の目が行き届かないところでプレーすることが可能になり、こうしたことのすべてがゲーム依存の増加に拍車をかけている。

ゲーム依存の脳はどうなっているのか

 ここで、なぜゲーム時間が長くなっていき、やめられなくなるのか、そのとき、脳内では何が起こっているのかを簡単に見ておこう。

 人の脳の中には本能をつかさどる部分(大脳辺縁系)と理性をつかさどる部分(前頭前野)があって、絶えずこれらがシーソーゲームをしており、通常、理性が本能より優勢な状態であれば行動をコントロールできる。

[画像のクリックで拡大表示]

 この理性をつかさどる前頭前野は子どもの頃からゆっくりと発達するため、年齢が低いほど働きが弱く、自己コントロールが難しい。そのため、子どもは好奇心をかき立てるゲームの刺激をダイレクトに受けやすく、大人よりもたやすく依存に陥りやすい。また、注意欠如多動性障害(ADHD)など、もともと衝動性が高い脳の特性を持っている場合は、衝動のコントロールが利きにくく、より依存になりやすい。一方で、もともとは前頭前野(理性)がうまく働いている人でも、ゲーム依存が進行すると前頭前野の働きが低下してコントロールが利きにくくなり、悪循環に陥る場合もある。

 また、ゲームの画像など刺激をきっかけに脳が過剰に反応する、あるいは、刺激にすぐ慣れてしまい、より強い刺激でなければ快楽・多幸感を得られなくなる(報酬欠乏症という)といった脳の変化が起こることも分かってきているという。こうした変化が作用して、より強い刺激を求めてゲームに時間とお金を投じていくのだ。

 なお、樋口さんによれば「ネット依存者の脳の神経細胞はダメージを受けるという研究もあり、同じことはゲーム依存にも当てはまると推測できる」そうだ。ただし、ネット依存から回復すれば脳のダメージが回復するかどうかまでは研究報告はなく、まだ分かっていない。

リアルな経験が乏しくなることが問題

 実際にゲーム依存が進行してしまうと、心身や生活に様々な影響を及ぼす。久里浜医療センターの外来に訪れる患者の典型的なパターンは、親の言うことを聞かずにゲームに没頭し続ける結果、朝起きられなくなり昼夜が逆転するなど、生活リズムを崩すというもの。やがて不登校、ひきこもりといった問題も重なることが多い(図)。食事もとらないために痩せて体力が低下し、低栄養や運動不足から様々な健康障害も引き起こす。「食べる・動く・寝る」という健康の基本が崩れれば、健全な成長も阻害されてしまう。

久里浜医療センターのインターネット依存専門外来の受診者120人の症状(2016年5月~2017年9月、複数回答、樋口さん調べ)

 さらに、ゲームをしていないとイライラしたり、無気力になったり、抑うつ的になったりと、精神面にも影響を及ぼすという。

 「あくまでも個人的な印象ですが、患者さんと接すると、現実の生活や対人関係を十分に経験していないせいか、同年齢の人に比べて幼い印象を受けます」(樋口さん)

 人は山あり谷ありの現実生活や対人関係を通して、社会性や生きる力を身に付けていくものだが、ゲームの中のバーチャルな世界が充実すればするほど、リアルな経験が乏しくなってしまうことが問題だと樋口さんは指摘する。

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