日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様

日経 Gooday

ホーム  > スポーツ・エクササイズ  > トピックス  > 冬の定番「吸湿発熱素材」、使い方誤るとかえって冷える?
印刷

トピックス

冬の定番「吸湿発熱素材」、使い方誤るとかえって冷える?

シーンに応じた素材選びのコツ

 塚越小枝子=フリーライター

 前回「手足の冷えのカギ握る「AVA血管」、調節のコツは?」では、寒さや暑さなどの環境に応じてAVA(Arteriovenous Anastomoses)という特殊な血管が拡張・収縮して、体温調節に貢献していることをお伝えした。AVAの仕組みに合わせた衣服選びをすれば効果的に冷えを防ぐことができそうだが、冬の定番といっていい「吸湿発熱素材」を使った衣類は、使い方を誤るとかえって冷えを助長することもあるので注意が必要だ。いくつかの素材の特徴とシーンに応じた素材選びのコツについて神戸女子大学教授の平田耕造さんに聞いた。

「吸湿発熱素材」は汗のかき過ぎに注意

冬の定番といっていい「吸湿発熱素材」だが、汗をかき過ぎると体を冷やしかねないという(c)Butsaya Ruengpen-123rf

 寒い季節になると、吸湿発熱をうたった素材でできたシャツや靴下などの衣類が手放せない人も多いのではないだろうか。

 吸湿発熱素材とは水蒸気が繊維表面に吸着されて、運動エネルギーが熱エネルギーに変換されて生じる「吸着熱」という現象を利用したもので、私たちの体から発せられる不感蒸散(発汗とは別に、自覚しないまま皮膚から蒸散する水分のこと)や汗の水蒸気を吸って発熱する機能的な素材だ。一般的な化学繊維より細い繊維にすることで全体の表面積を増やし、より湿気を取り込みやすく、熱を放出しやすくしている。各社の製品にはレーヨンが多いもの、アクリルが多いものなど繊維の組成や、織り方や編み方などの製法に違いがあり、それぞれの特色を出している。

 ただし、吸湿発熱素材は、汗をかき過ぎるとかえって体を冷やし、マイナスに働くこともあるという。

 「吸湿発熱素材は、冷えて困っているときにその状態を快適に戻す点で重要な働きをします。ところが快適と感じる状態よりも温度が上がって汗をかいてしまうと、発熱量が多くなり過ぎるため、かえって暑くなります。その後、ぬれた皮膚や繊維から水分が短時間に多量に蒸発するときに気化熱で体が冷やされてしまうので、それを防ぐ必要があります」と平田さんは言う。

「綿」も水分を吸うと熱が発生

 綿などの一般的な素材でも吸湿するときに熱が発生する。綿100%のシャツとポリエステル100%のシャツ(同じ熱伝導率、熱伝達率に作ったもの)を比較し、吸湿性と衣服の快適性を調べた平田さんらの実験によると、環境の湿度が50%から90%に上がると、ポリエステルは大きな変化がないのに対して綿は表面温度が急激に上がることが分かった[図1(*1)]。人が着用した実験では、衣服の表面温度も皮膚血流量も、発汗するまでは素材による違いはないが、発汗が始まると綿のほうがどちらの数値も高くなった[図2(*1)]。

【図1】湿度と衣服表面温度 ~ 綿 vs ポリエステル ~
湿度が50%から95%に上がると、綿は表面温度が急激に上がった
[画像のクリックで拡大表示]
【図2】衣服表面温度と皮膚血流量 ~ 綿 vs ポリエステル ~
発汗が始まると綿のほうの衣服表面温度と、綿を着ている人の皮膚血流量が上がった
[画像のクリックで拡大表示]

 「発汗しない条件下では吸湿性が高い綿のほうが快適ですが、発汗する条件になると綿の場合、吸湿により熱が発生し、熱が蓄積されるため皮膚の血流が増えて皮膚温も上がり、不快に転じてしまうのです」(平田さん)

*1 Tanaka K, et al. Heat of sorption induced by sweating affects thermoregulatory responses during heat load. European Journal of Applied Physiology. 2001;84:69-77.

1/2 page

最後へ

次へ

RELATED ARTICLES関連する記事

スポーツ・エクササイズカテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • つらい「肩こり」は動的ストレッチで解消!

    肩こりの原因の大半は、生活習慣。すなわち、不自然な姿勢で過ごすことや、たとえ良い姿勢であっても長時間続けてしまうことが、首や背中の筋肉を緊張させ、筋疲労を引き起こす。この記事では、肩こりに関する記事の中から重要ポイントをピックアップして、肩こりの解消方法をコンパクトに紹介していく。

  • 筋肉博士が教えるロコモ予防の下半身筋トレ

    健康寿命を延ばすためには、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動だけでなく、「筋トレ」も重要であることが最近改めて認識されている。東京大学大学院教授で“筋肉博士”こと石井直方さんは、「寝たきりにならないためには、40~50代のうちから筋肉量を増やす意識で運動することが大切」という。そこで本特集では、石井さんに聞いた、筋トレの効果と、具体的な下半身筋トレの方法を一挙に紹介する。

  • 睡眠不足は肥満や生活習慣病のリスクを高める

    近年、睡眠不足が積み重なる「睡眠負債」の怖さが取り上げられるようになり、睡眠の大切さがクローズアップされている。実際、睡眠不足や質の低下が、疲れや集中力の低下につながることを実感したことがある人も多いだろう。しかし、問題はそれだけではない。睡眠不足や質が低下すると“太りやすくなる”。さらに、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病のリスクも高まることも分かっている。そこで本特集では、睡眠と生活習慣病の関係から、実践的な睡眠改善法までを一挙に紹介する。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2019 Nikkei Inc. All rights reserved.