ノロウイルスで嘔吐! どうやって消毒すればいい?
ノロウイルス徹底対策【後編:消毒法】
大西淳子=医学ジャーナリスト
ノロウイルス感染が疑われる人が下痢をしたとき、トイレ内のどの範囲まで清掃すればいいのでしょうか。
長野県北信保険福祉事務所が、実際に疑似水様便を用いて実験を行いました(*2)。目的は、和式トイレと洋式トイレでの跳ね返りの範囲を調べること。そして、排便後の肛門拭き取り時の手の汚れの程度を調べることです。
和式トイレで下痢をした場合、肛門から腰にむかって16cmまでの範囲と、踵や足首(ズボンの裾)の内側に飛沫が検出されました。便器内だけでなく外側の床や後ろの壁にも飛沫が数多く認められました。
洋式トイレでは、肛門から15cmまでの範囲に広く飛沫が見られましたが、それ以外の体表面への付着はありませんでした。また、便器内と便座裏側に多数の飛沫が付着していましたが、便器外への飛散は見られませんでした。
肛門拭き取り実験では、握ったトイレットペーパーから露出していた親指の付け根のあたりを中心として、手と手首(長袖着用なら袖の内側)に疑似水様便が付着していました。
洗浄やドアの開け閉め動作は拭き取りをしなかった手で!
また、肛門拭き取りを行ったその手で、洗浄レバーに触れ、水道の水栓をあければ、それら全てにウイルスが付着することも示されました。拭き取りを行わなかった方の手でそうした動作を行えば、汚染を広げずに済みます。また、袖口の汚染は、腕まくりをすることにより回避できます。もちろん、手洗いは手首の上まで念入りに行う必要があります。