徹底解説! ノロウイルスってどんなウイルス?
ノロウイルス徹底対策【前編:まず敵を知る】
大西淳子=医学ジャーナリスト

職場の同僚がノロウイルスに感染し、突然ダウン。激しい嘔吐と下痢を繰り返し、げっそりやつれて復帰してきた…。そんなエピソードを経験したことがある人もいるのではないでしょうか。
ノロウイルスによる感染性胃腸炎や食中毒は、年間を通じて発生しますが、冬は一番の流行期。今年も、自分や家族、あるいは職場の同僚が、ノロウイルスによる感染性胃腸炎を発症したら…と考えると気分が暗くなりますね。
そもそもノロウイルスとはどんなウイルスなのか。何に気を付ければ感染リスクを低くできるのか。年末の気忙しい時期、予期せぬ突然のダウンを避け、元気に乗り切るために、まずは、“敵”を知ることから始めましょう。時間がない人は、各項目の「ポイント」だけをチェックしてみてください。時間に余裕のある方は、じっくり読んで、ノロウイルスに対抗する知識を身につけましょう。
症状と経過
- ノロウイルスは食べ物や手などを介して口から感染する
- 嘔吐や下痢、腹痛が1~2日続く
- 子どもや高齢者は特に脱水や栄養不足を引き起こす危険あり
- 症状が治まっても数日~1カ月近く、便の中にウイルスが排出され続ける
ノロウイルスは食べ物や手の指などを介して主に口から感染し、ヒトの小腸で増殖して、嘔吐、下痢、腹痛などを起こします。感染後24~48時間で発症し、通常は、嘔吐や下痢が1~2日続いたのちに回復します。子どもや高齢者では、脱水が進んだり栄養不足になったりする危険性があります。
ノロウイルスは、症状がまだ現れていなくても、感染から15時間後には便中に排出され始め、25~72時間後には便へのウイルスの排出がピークに達します。ピーク時には、便1gあたりに約1000億個のノロウイルスが存在します。その後、排出されるウイルスは減少しますが、通常は1週間程度、長い時には1カ月程度、便への排出が続きます。
一部に、感染しても発症しない人や、軽い風邪のような症状にとどまる人もいますが、それらの人の便にも感染性のあるウイルスが排出されます。
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