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睡眠不足は脳に重大な影響 「あとで取り戻せる」は嘘

アリアナ・ハフィントン流 最高の結果を残すための「睡眠革命」(3)

 アリアナ・ハフィントン

睡眠とアルツハイマー病の関係は?

 デュークNUS医科大学院の2014年の研究では、加齢とともに睡眠時間が短くなると脳の老化が早まると報告された。アルツハイマー病患者では、脳が縮んで、脳脊髄液が入っている脳室が広がり、脳の溝やしわが目立つようになる。研究者たちは、高齢者における睡眠不足が脳室の拡大速度を速め、認知機能を低下させることを見いだした。脳室の大きさと認知機能はいずれも、アルツハイマー病の発症と関連性がある重要な指標だ。

睡眠に問題がある人はアルツハイマー病を発症する可能性も高い?(©atic12-123rf)

 スウェーデンのウプサラ大学が行った二つの研究もこのことをさらに裏付けている。一つの研究では、睡眠に問題があると答えた男性は、そうでない男性と比較して、アルツハイマー病を発症する可能性が50%高かった。もう一つの研究では、一晩、睡眠不足になるだけで、脳のダメージを示唆する二つのまれな脳内分子(NSEとS -100B)が増えていたと報告された。

世界最高齢女性の長寿の秘訣は「昼寝」だった

 睡眠は心の健康とも複雑に関連している。カナダとフランスの研究者らの報告によれば、早寝を続けていると心の病気のリスクが低下する可能性があるという。これにかかわっているのが、約24時間周期である概日リズムよりも短い周期で働くウルトラディアンリズムだ。

 私たちの体内では、複数のウルトラディアンリズムが体温、ホルモン、食欲などを制御している。そして、これらのリズムを調整しているのが、脳内の報酬・快楽信号に関連する神経伝達物質、ドーパミンだ。睡眠が乱れるとドーパミンの分泌が乱れて神経伝達のバランスが崩れる。このバランスの崩れは双極性障害や統合失調症との関連性が見いだされている。

 そして寿命。私が最新刊『The Sleep Revolution』(邦題『スリープ・レボリューション』)を執筆していた時点で、世界最高齢はニューヨーク州ブルックリン在住の「ミス・スージー」ことスザンナ・マシャット・ジョーンズ、116歳だった(訳注*ジョーンズは117歳を迎える約1カ月前の2016年5月12日に亡くなった)。デイリーニューズ紙の記者に長寿の秘訣を聞かれた彼女は「私はよく寝ます」と答え、そのまま昼寝のデモンストレーションをして見せた。

(訳 本間徳子)

【連載】
 アリアナ・ハフィントン流 最高の結果を残すための「睡眠革命」
 第1回 ハフィントン氏 死を招く睡眠不足、世界最短は東京
 第2回 「睡眠不足」悪事の数々 免疫低下、無力感、体重増も
 第3回 睡眠不足は脳に重大な影響 「あとで取り戻せる」は嘘
 第4回 短時間睡眠は時代遅れ 名だたるCEOが8時間宣言
アリアナ・ハフィントンさん
「ハフィントンポスト」創設者、スライブ・グローバル社の創設者・CEO
アリアナ・ハフィントンさん 2005年5月にスタートした『ハフィントンポスト』はたちまち評判になり、多数の読者を獲得。2012年にはピューリッツァー賞(国内報道部門)を受賞した。2016年8月に設立した新会社スライブ・グローバルは、人々の健康と生産性向上のため、最新の科学的知見にもとづくトレーニング、セミナー、eラーニング講座、コーチング、継続的サポートなどを世界各地の企業および個人に提供すると発表している。近著に『Thrive』(邦題『サード・メトリック しなやかにつかみとる持続可能な成功』CCCメディアハウス)。最新刊『The Sleep Revolution』(邦題『スリープ・レボリューション』日経BP社)は米国で15万部のヒットに。
書籍『スリープ・レボリューション 最高の結果を残すための「睡眠革命」』を再構成

スリープ・レボリューション

著者 : アリアナ・ハフィントン
出版 : 日経BP社
価格 : 1,944円 (税込み)

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