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ノーベル賞で注目の体内時計、リズムを作るメラトニンの驚くべき効果

 ステラ・メディックス

骨粗しょう症や糖尿病や急性心筋梗塞などに影響

 東京医科歯科大学教授の服部淳彦さんは、「ホルモンとしてのメラトニンを受け取る受容体と呼ばれるたんぱく質は、脳のほか、目の網膜、肝臓、心臓、皮膚、肺、精巣、卵巣など全身にあるのです。こうした臓器にある受容体の遺伝子変異が、不眠症のほか、糖尿病、急性心筋梗塞、腎結石症などと関係していると分かってきました」と説明する。

 例えば、乳がんでは、女性ホルモンのエストロゲンが、乳がん細胞の中にあるエストロゲン受容体と結合してがん細胞の増殖を促す。メラトニンにはエストロゲン受容体を抑える効果があるため、抗がん剤の効果を引き上げる可能性が示されている。また、男性ホルモンの影響を受ける前立腺がんでも効果が期待されているという。

 その上で、服部さんは、「メラトニンには2つの働きがあると分かってきました。一つは、夜の時刻を全身に伝える働き。もう一つは、抗酸化物質としての働き」と解説します。

 服部さんの研究グループは、骨粗しょう症を防ぐ可能性があることも確認している。人間の骨は血液のカルシウム濃度を一定に保つために、壊されたり作られたりしており、高齢になると骨量は年々減少していくことが分かっている。

 服部さんのグループは、メラトニンを増やすと、骨を壊す役割のある破骨細胞を抑え込むことを確認している。宇宙飛行士の野口聡一さんが実施したJAXA(宇宙航空研究開発機構)との共同研究の中でも、メラトニンによって宇宙で魚のウロコがボロボロになるのを防ぐことが分かっている。

 最近では、米国やデンマークの研究グループが、メラトニンを服用することにより、大腿骨頸部の骨密度を高められることも突き止めている。

自閉症を改善させる効果にも注目

 さらに、日本では自閉症との関係で注目されている。自閉症の子供の睡眠障害を治す薬として臨床試験が進んでいるからだ。自閉症では睡眠障害が問題となっているが、メラトニンによって改善を図ろうというものだ。睡眠の改善によって、自閉症の子供の精神的な症状そのものの改善も図れる可能性があると期待されている。

 理化学研究所脳科学総合研究センター精神生物学研究チームの内匠透シニア・チームリーダーは「自閉症ではメラトニンが減少していることが知られています。自閉症では睡眠障害が起こりやすいので、セロトニンからメラトニンが作られている仕組みに治療のヒントがあるかもしれません」と解説する。

 メラトニンはさまざまな臓器に影響を及ぼすことで、効果を表している可能性があるのだ。

 さらにもう一つ、抗酸化物質として体に有害な活性酸素を取り除く効果も重要になってきている。

 服部さんは、「メラトニンが長期記憶力を高める効果を確認しています」と解説する。もともとアルツハイマー病の人が、メラトニンを飲むと、認知機能の低下を防ぐことができることが示されていた。服部さんらの研究グループが、マウスを使って、メラトニンが脳内で「AMK」という物質に変化することに着目し、このAMKをマウスに1回だけ飲ませたところ、記憶力を急速に高められることが分かった。服部さんらはAMKの特許申請をし、一般に使える可能性を探ろうとしている。すぐに表れるメラトニンの効果として注目されている。

 深田さんは、「体内時計は単純に体のリズムにとどまらず、日々の健康に密接に関係していることはこれまでの研究からは明らかになっています。もっとも1990年代にメラトニンフィーバー(*1)と呼ばれたブームがあったように、これから過熱する可能性もあります。効果を着実に証明していく姿勢が大切です」と語る。

*1 メラトニンフィーバー 1994年ごろからマスコミなどで、抗がん作用、若返りなどの効果があると取り上げられ、一時期大きなブームになった。

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