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日本の高齢者は若返っている! 抗老化研究の最前線

『「100年ライフ」のサイエンス』監修者・樂木宏実さんに聞く

 江田憲治=日経BP総合研究所メデイカル・ヘルスラボ

 しかし一方、健康長寿には厳しい現実もあります。介護につながるような病気の罹患率の高さです。例えば、がんや認知症の罹患率が、日本はインドやブラジルといった新興国よりも高いといったデータもあります。罹患率だけでなく、死因と合わせて比較する必要はありますが、いずれにしても日本人はこのような病気を抱えながら長生きをしているのです。

 健康寿命を延ばすには、健康管理への取り組み、準備が欠かせません。もちろん70歳には70歳の準備や対策はありますが、老いる速度を遅らせて健康長寿を目指すのに、“早過ぎる準備”はありません。早くから始めるほど高い効果を期待できます。

「年だから仕方がない」は誤り!

どんな準備を始めたらよいのでしょう。

樂木 まず老化について、正しい知識を持つことが大切でしょう。「年だから仕方がない」「遺伝だから仕方ない」。老化に対して、こんなイメージをお持ちの方も多いようです。しかし、これらは必ずしも正しくありません。老化はその人の過ごしてきた生活環境と密接な関係があり、生活習慣を改善することなどで、制御、コントロールできる可能性が大きいのです。

 年齢と老化の関係や、準備すべきポイントをつかんでもらうため、私がよく使用しているのが、図2の「年齢と老化の関係モデル」です。横軸は年齢で、縦軸は生存率・自立度、つまり“元気さ”を示しています。老化は20歳ごろから始まり、50歳代で加速する傾向があります。

図2 年齢と老化の関係モデル
細胞と臓器の老化は、一般に20歳以降に始まるが、人により進み方は異なる。健康寿命を延ばすことにより、健康老人、長寿老人になる道も開ける。出所:樂木教授作成
[画像のクリックで拡大表示]

 4つのモデルのうち、「残念な老化パターン」として、特に注意していただきたいのが、左から2番目の「生活習慣病モデル」です。中年期を過ぎると生存率が下がり始め、平均寿命手前で亡くなるケースですが、中年期から健康に不安を持つサラリーマンが、しっかり手立てをしなかった場合にたどる未来、と言えばイメージをつかみやすいかもしれません。

 50歳代から生存率が下がる理由として、エイジングドミノの進行が挙げられます。エイジングドミノは、加齢や生活習慣を背景に、ホルモン低下や酸化ストレスといった老化要因が重なり、臓器老化や老年疾患が同時並行して起きる現象です。その始まりは30歳代、40歳代であるケースも多くあり、だからこそ早くから老化制御、健康寿命延伸の準備に取り組む必要があるわけです。

樂木先生が監修した書籍『「100年ライフ」のサイエンス』でも触れられていますが、老化制御について革新的な研究も進められているようです。

樂木宏実監修『老化はこうして制御する 「100年ライフ」のサイエンス』(日経BP)

樂木 この数年の老化研究の成果として、エビデンスレベルが高く、社会実装への期待が高い老化制御の研究がたくさん出てきたことが挙げられます。

 例えば、NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)を活用した老化制御法。これは、ビタミンB3(ナイアシン)の一種であるNMNを摂取し、長寿遺伝子を活性化させることにより老化制御を図るもので、マウスを使った実験ではすでに効果が認められています。現在は人への効果を確かめている段階で、私たち大阪大学でも2020年に臨床試験を行っています。

 老化細胞も期待の高いテーマです。老化細胞は、分裂を停止した細胞が行きつく先の1つ。特定の老化細胞を除去することで、臓器の若返りを図る「老化細胞除去薬(セノリティクス)」の開発も進められています。この他、細胞内の新陳代謝の機能であるオートファジーを活用した研究制御なども注目を集めています。

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