過去最悪! RSウイルスの流行が拡大中
乳幼児や高齢者に重症化の恐れ、「家庭内感染」に要注意
内山郁子=日経Gooday

かぜの原因ウイルスの一つ、RSウイルスの流行が急激に拡大している。通常は冬から流行が始まるが、2015年は8月下旬から患者報告数が増加。国立感染症研究所が2015年12月8日に発表した、11月29日までの1週間のRSウイルス感染症患者報告数は6592人となり、過去最悪のペースで流行が広がっていることが分かった。
RSウイルスは鼻やのど、肺などの呼吸器に感染するウイルス。感染から2~8日の潜伏期間の後に、熱や鼻汁などの「かぜ症状」が数日間表れる。健康な成人では大半の場合自然に治癒するが、初めてRSウイルスに感染した乳幼児の3割では、咳の悪化や喘鳴(ぜんめい:感染症による炎症などにより気道が狭くなると起こる、ゼイゼイ、ヒューヒューという呼吸音)が表れる。免疫力が低下した高齢者も、肺炎を起こしやすく注意が必要なウイルスだ。
鼻翼呼吸やおかしな言動があったらすぐ病院に
特に重症化への警戒が必要なのは、新生児や生後6カ月以内の乳児と、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や気管支喘息など慢性の肺疾患がある高齢者。乳児では小鼻をピクピク動かす鼻翼呼吸、高齢者では意識がぼんやりしたりつじつまの合わないことを言うといった精神症状も、呼吸状態が悪化しているサインの一つなので、すぐに医療機関を受診するようにしたい。
RSウイルスの感染経路は、咳やくしゃみによる飛沫感染と、ウイルスのついた手で口や鼻に触れることなどによる接触感染。家族に乳児や高齢者がいる人は、帰宅時には手を入念に洗い、家庭内でもマスクをつけるなど、「感染させない」対策を講じておくことが大切になりそうだ。