健康食品「4つの誤解」 副作用の有無から効き目まで
どれだけ知っている?トクホ、機能性表示食品の本当のこと
村山真由美=フリーエディター・ライター
【誤解3】健康食品と医薬品の併用を、医師や薬剤師に伝える必要はない

アンケートでは約半数の人が、健康食品と医薬品の併用を医師や薬剤師に伝えていないことがわかった。万一併用する場合は、きちんと伝えるべきだ。だがそれ以前に、病気で通院している人が健康食品を利用することはそもそもが間違っていると、千葉さんは指摘する。
「健康食品の対象者は、健康な人や病気が気になる人であって、病気の人ではありません。また、高齢者、妊産婦、子どもはハイリスクグループといって、健康な成人よりも健康食品の影響を受けやすいため、これらの人は基本的には健康食品をとるべきではありません。使用する場合は、必ず専門職に相談してからにしてください」(千葉さん)
病気の人が自己判断で健康食品をとってはいけない理由は、薬との相互作用を起こす可能性があるからだ。「例えば、血圧を下げる薬や血糖を下げる薬を飲んでいる人が、『血圧が高めの人に』『血糖が気になる人に』というサプリメントを飲むと、血圧や血糖が下がりすぎてしまうことがあります。健康食品をとっている場合は、そのことを医師に伝えないと、血圧などが下がった原因がわからず、正しい治療ができなくなります」(千葉さん)
また、健康食品に含まれる成分には、小腸や肝臓で薬の代謝を高進させてしまうものがあるという。
「有名なのはセントジョーンズワート。日本名をセイヨウオトギリソウといい、抗うつ作用があるといわれているハーブですが、これに含まれるいくつかの成分が消化管に含まれるCYP3A4という酵素の働きを活性化させ、抗うつ剤の分解を早めてしまうため、抗うつ剤が効きにくくなってしまうことが知られています」(千葉さん)
健康食品にはいろいろな形態がある。錠剤やカプセルのものは薬っぽいイメージがあるため、医師に伝えたほうがいいかもと思うかもしれない。一方、お茶やヨーグルトはそこまでしなくてもよさそう……と判断しがちだが、実際のところどうすればいいのだろうか。
「血糖値を下げる薬を飲んでいる方が整腸作用のあるヨーグルトを食べても、血糖には影響はないと思うかもしれません。しかし、難消化性デキストリンが入っているヨーグルトの場合、整腸作用もありますが、糖の吸収を抑える作用もあるため、結果的に血糖が下がりすぎることがあります。また、貧血で鉄剤を処方されている方がカテキン入りのお茶を飲むと、カテキンが鉄の吸収を抑制してしまうことがあります」(千葉さん)
以上のことから、ヨーグルトやお茶であっても、医師に伝えたほうがいいといえる。
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