【PR】ストレスや睡眠に関わる脳腸相関に注目しよう
「腸からストレス・睡眠を整える新発想」オンライン配信セミナーレポート
日経ヘルス・日経Gooday主催、ヤクルト本社協賛のオンライン配信セミナー「健康を共に、学び・考え・実践する健康マネジメント塾」が10月16日に開催された。ストレス性疾患の研究で知られる東北大学病院心療内科科長 福土審教授が腸と脳にまつわる最先端の話を披露!
講演:腸内環境を改善して腸からストレス、睡眠を整える
脳と腸とは相互に影響を及ぼす「脳腸相関」の関係にある。
この脳腸相関が関与する病気が、現代を代表する病気の一つ過敏性腸症候群(以下、IBS)で、ストレスで悪化し、腹痛と排便の異常が特徴とされる。

IBSに悩んでいる人は世界的に見ても多い。福土教授のチームが行った世界初の「機能性消化管障害・全世界同時疫学調査」の結果によると、全人口当たりIBSは4.1%、機能性便秘(FC)は11.7%、胃腸の調子が悪い人は40.7%にも上る。
「腸には独自の神経細胞ネットワークがあり、脳とつながっています。腹痛は腸から脳に至る経路を通じて脳の広範囲に伝わることで実感されます。同時に脳からは痛みを緩和するようなシグナルが出て腸に働きかけることも分かり、腸の健康がいかに脳の働きに影響するかということも解明されてきました」(福土教授)。
実際に、行動選択に迷うような問題を使い試験を行うと、健常な人は迷ったとしても脳の前頭前野が活性化して問題を解決していけるが、慢性的に胃腸の調子が悪い状態が続くと、あれこれ迷い、間違いも起こしやすくなるという。
また、IBSの人は健康な人に比べて特定の腸内細菌(ラクトバチルス、ベイロネラ)の数が多いという研究もある。
そして今、「脳腸相関において、腸に有益な細菌を与えれば脳機能を変えられるということが分かってきました」と福土教授。
進級に必要な学術試験を控えた医学部生に乳酸菌 シロタ株を含む飲料を摂取させたところ、擬似飲料を摂取させた学生よりも睡眠時間の長さが改善され、ストレスマーカーであるコルチゾールの分泌量が抑えられたという報告や、有益菌によってIBSの諸症状が抑えられたというデータもある。
「心療内科の治療も、まずは内科的に腸の調整から始めています。一番基本となるのが腸内環境の改善で、有益菌を使ったり食事のコントロールで対処していきます」(福土教授)。
腸を通して脳の健康、ストレスや睡眠までもコントロールできる時代。まずは有益菌をとるのが近道といえそうだ。
トークセッション:自分に有益となる菌を探すコツは科学的根拠があるかどうか
第二部は、日経BP総合研究所メディカル・ヘルスラボ客員研究員・西沢邦浩が加わり、トークセッションを展開した。

有益菌とされる乳酸菌の中でも、生きて腸内まで到達する特定の乳酸菌には一時的に精神的ストレスがかかる状況でのストレス緩和や睡眠の質向上の機能があること、腸内環境を保つ上で良いとされる酪酸やプロピオン酸は、IBSの場合は、酸の感受性に関わる神経が過敏になっているため注意が必要なことなど、専門家ならではの目から鱗の落ちるような意見を聴くことができた。
「一定の確率で何に効果があるのか検証されているものは、信頼がおけるのではないでしょうか。有益菌の中でも安全で根拠がはっきりしているものを選びましょう」と福土教授。同じ乳酸菌でも多数の種類があり、その健康への影響もさまざま。それぞれのメリット・デメリットを正しく理解した上で、自分に合うものを選びたい。

健康に関する多くの質問が寄せられた
オンライン配信セミナーの最後には、参加した人からの質問に答えるコーナーが設けられたが、残念ながら時間が足りず答えきれなかった質問に対して改めて福土教授に答えてもらった。
年齢と腸内環境や腸能力に相関はあるのでしょうか? ある場合、加齢によってどんな影響があるのでしょうか?
A 加齢に伴い、腸内細菌のバランスは変化し、若いときには比較的少ない有害菌が増加し、有益菌のビフィズス菌が減っていくことがわかっています。加齢のほか、食生活によっても腸能力は低下します。
腸内細菌の種類や状態は人により異なると聞きました。より良い種類・状態も人により異なるのでしょうか?
A 腸内には約1000種類、100兆個もの細菌が住んでいて、その構成は遺伝や食事で決まるといわれ、1人ひとり異なります。同様に、体にとって有益となる菌も人それぞれ異なります。
脳腸相関において、重要なのは大腸かと思いますが、小腸などとの関連もあるのでしょうか?
A 腸内細菌は小腸から大腸に広く分布しており、それぞれの菌に適した生息地があります。ストレスを受けると大腸・小腸ともに刺激され、消化管運動が起こることがわかっています。
人それぞれに適した腸内細菌叢、腸内環境をどう判断すればいいのでしょうか? 実感が一番でしょうか?
A 腸内環境の良し悪しを自分自身で知るには、便の状態をチェックするのが一番です。腸の状態が悪いと肌荒れや肥満、疲れやすい、風邪をひきやすいなどの症状が出ることもあります。
