「スマホ猫背」は不調の元 姿勢正す3つのポイントときくち体操
ビジネスパーソンの不調を「きくち体操」で解決(上)
新村直子=ライター
肩甲骨を1ミリ下げる
理想は、背すじがピンと伸びた若々しい姿勢。大人世代が今からでも姿勢を良くする方法はあるのだろうか。「背中回りをほぐし、上半身を支える筋肉を育てる動きで、姿勢はいくつからでも、必ず良くしていけます」。たとえ70歳以上でも体操を行うことで、姿勢がぐっと良くなった多くの生徒さんたちを見てきた菊池さんは、こう言い切る。そのためには、まず、鏡を見て、自分の体と向き合う習慣を持つことが大切だという。

鏡の前で立つ時に意識するべきポイントは3つ。一つ目は、「肩甲骨を下げる」ことだ。前かがみの姿勢を続けることで、肩甲骨の間は常に開きっぱなしになりがち。肩甲骨を寄せれば、胸は開く。だが、「教室で、肩甲骨を寄せると言っても、どうしたらいいのかわからないという方がいたので、きくち体操では、“肩甲骨を1ミリ下げる意識を持って”と伝えています。実際、1ミリでも下げる意識を持つと、鎖骨が後ろに引っ張られ、肋骨が持ち上がり、頭が頸椎の上に乗ります。前にシフトした首も背すじもちゃんと伸びますし、胸も自然に開くのです」。
2番目は、おなかを引き、腹筋を育てる意識を持つこと。「腹筋は、おなかにはない骨の代わりに内臓を守り、体の前側から背骨を支えるという重要な働きを担っています。そのため、常におなかを引く癖をつけ、腹筋を育てることは、正しい姿勢を保つために欠かせないポイント。腹横筋などのインナーマッスルも含め、しっかりした腹筋を保つことで、内臓が上に引き上がり、全身の代謝も上がり、内臓脂肪型肥満、メタボの予防にもなります」と菊池さん。
3番目は、足の指や足の裏をしっかり使って立つこと。「特に、日中は靴に閉じ込められ、使えていない人も多いのが足の指。踏ん張ったり立ったりした時に足の指が地面から浮いてしまう“浮き指”になっていると、立つ時にかかとに重心が移ったり、骨盤のゆがみを招いてしまいます」と菊池さん。立っていてかかとに重心がずれることがあると感じる人は要注意。「今からでも、足の1本1本の指の間を広げたり、足の指に意識を向けて、指を丸めてグーを作ったり、パーッと開く動きを行って。普段から、足の指を使って立つ習慣を身につけて、姿勢をリセットさせていきましょう」(菊池さん)。

足の指がしっかり使えるようになると、地面をしっかりとらえることができるようになる。そのため、教室に通い始めてから、「50代、60代でもゴルフの飛距離が伸びた」という人がとても多いのだという。姿勢改善に加え、飛距離アップの一石二鳥を狙いたいなら、通勤電車で立つ時などにも、足の指、足の裏をしっかり使う意識を高めていこう。
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- 姿勢を良くする体操~まず「骨盤揺らし」