糖尿病で腎臓ダメージ、透析に 怖い合併症どう防ぐ?
伊藤和弘=ライター
生活習慣の改善とともに必要な薬はきちんと飲む
義太夫さんも糖尿病と診断されて以来、食事にはそれなりに気を使い、週に1回ウオーキングもするようにしていた。しかし「糖尿病の怖さは痛い、つらい、がないことなんですよ」と振り返る。症状がないのであまり真剣に取り組めず、処方された薬もきちんと飲まないことが増えていく。そして2007年、仕事中に突然倒れ、病院にかつぎ込まれた。「このままでは命にかかわる」と言われ、透析治療を開始したという。現在は週3回、5時間ずつ透析を受けている。
「糖尿病と診断されてからも、もっと生活習慣に注意していれば、透析を始める時期をずっと後ろに持っていけたんじゃないかと後悔しています……。でも透析をしていても、それ以外は普通に暮らせますよ。病院で週15時間受ける透析の間は静かにものを考える時間と決めて、ネガティブにならないようにしています」(義太夫さん)
透析治療を始めたからといって自暴自棄になってはいけない。小田原さんは「治療開始はどの段階でも遅すぎることはない」と強調した。
「透析治療はハンディキャップにはなりますが、それでも普通の生活を送ることは可能です。脳卒中を起こして寝たきりになるとさらにQOLが下がりますから、ほかの合併症を発症しないようにすることが大切。繰り返しますが、腎臓を守るには血糖値と血圧のコントロールが非常に有効です。食生活や生活習慣の改善とともに、必要な薬はきちんと飲んでいただくのがいいと思います」(小田原さん)
腎機能はいったん下がると戻らない。大切な腎臓を守り、末永く人生を楽しむため、血糖値と血圧をしっかりコントロールしていこう。
(グラフ制作:増田真一)


