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ハフィントン氏 死を招く睡眠不足、世界最短は東京

アリアナ・ハフィントン流 最高の結果を残すための「睡眠革命」(1)

 アリアナ・ハフィントン

世界規模で広がる「睡眠不足」

 睡眠は一晩に少なくとも7時間取るべきだとされるが、ギャロップ社が行った最近の世論調査によれば、米国成人の4割はこれを大きく下回る。ボストン小児病院の小児睡眠障害センター長ジュディス・オーウェンスは、充分な睡眠を取ることは「栄養と運動、そしてシートベルトを締めることと同じくらい重要」だと話す。しかしほとんどの人は、睡眠の必要性をあまりにも過小評価している。そのため睡眠は「我々が最も軽んじる健康習慣になってしまっている」と、クリーブランド・クリニックの健康推進責任者マイケル・ロイゼンは言う。全米睡眠財団の報告もこれを裏付けており、3人に1人は平日に充分な睡眠が取れていないという。

朝起きたとき「寝足りない」と感じている人、多いのでは?(©nito500-123rf)

 この危機は世界規模だ。2011年の英国の調査では、回答者の32%が、直近6カ月間の一晩の平均睡眠時間は7時間未満だと答えていた。それが2014年には60%にも達した。2013年の調査では、ドイツで3人に1人、日本で3人に2人が平日に充分眠れていないと回答している。その日本には、疲労から会議の最中に眠ってしまうことを表す単語があるほどだ。「居眠り」、字義通りに言えば「居ながらにして眠っている。居眠りは勤勉の証しとみなされてきたが、これも、私たちが直面している睡眠危機の症状の一つにほかならない。

 リストバンド型の活動量計を製造しているジョウボーンは、同社の製品「UP」シリーズを装着している何千もの人々から睡眠データを収集している。その結果、睡眠が少ない都市のランキングがわかるようになった。一晩あたりの睡眠が最も短いのは東京で、レッドゾーンの5時間45分。ソウルは6時間3分、ドバイは6時間13分、シンガポール6時間27分、香港6時間29分、ラスベガス6時間32分。ラスベガスより短いのなら、あなたの睡眠は問題ありだ

仕事最優先の考え方と、テクノロジーの進歩が犯人?

 こんなことになっている理由の大部分はもちろん仕事にある。もっと広く言えば、私たちが仕事をどう定義するかにある。そしてそれは、私たちが成功をどう定義し、何を人生で重要と考えるかによって彩られている。仕事が常に最優先だという盲信は、高い代償のもとに成り立ってきた。しかもテクノロジーの進歩がそれを悪化させている。今や、電話をポケットやかばんに入れるだけで、誰でもどこへでも仕事を持ち運べてしまう。自宅にも、寝室にも、ベッドの中にさえも、つきまとってくる電子音と振動と光る画面。

 それは際限ない接続だ。友人との、他人との、世界中との、あらゆるテレビ番組との、すべての映画との。ただボタンを押せばよい。そう、依存的に。社会的動物である私たち人間は、人とつながるようにつくられている。デジタル環境に接続していないときでも他者とのつながりを期待している。そして、常にこの状態にあると、就寝時刻を迎えても心が休まってくれない。私たちは、自分の休息をおざなりにしか考えないくせに、電子機器がたっぷり休んで充電できる神殿を家中のそこかしこに用意してやっている。

 今やネットへの常時接続は、成功に不可欠な条件だとされるようになった。ペンシルベニア大学の労働学教授アラン・デリクソンも著書『危険な眠気』で次のように指摘している。

 「世界的競争の世の中で、睡眠不足は生き残りに不可欠な習慣の一つになってしまった。トーマス・エジソン(注*睡眠が短かったことで知られる)くらいでは済まない。24時間365日動き続ける現代社会で成功するには、必要な休息を自分にも部下にも認めないことが必要とされている。米国には、ありとあらゆる休眠に疑惑の目を向けるというイデオロギーがかつてない強さで浸透している」

(訳 本間徳子)

◇   ◇   ◇   ◇

 ハフィントン氏が紹介しているアラン・デリクソン氏の指摘は、米国だけでなく今の日本にもそっくりそのまま当てはまりそうだ。ではこの危機から脱するにはどうすればいいのか。それを考えるには、まず、睡眠不足がどれほど健康に悪影響を与えるのかを知る必要がある。次回はそのテーマを取り上げる。

【連載】
 アリアナ・ハフィントン流 最高の結果を残すための「睡眠革命」
 第1回 ハフィントン氏 死を招く睡眠不足、世界最短は東京
 第2回 「睡眠不足」悪事の数々 免疫低下、無力感、体重増も
 第3回 睡眠不足は脳に重大な影響 「あとで取り戻せる」は嘘
 第4回 短時間睡眠は時代遅れ 名だたるCEOが8時間宣言
アリアナ・ハフィントンさん
「ハフィントンポスト」創設者、スライブ・グローバル社の創設者・CEO
アリアナ・ハフィントンさん 2005年5月にスタートした『ハフィントンポスト』はたちまち評判になり、多数の読者を獲得。2012年にはピューリッツァー賞(国内報道部門)を受賞した。2016年8月に設立した新会社スライブ・グローバルは、人々の健康と生産性向上のため、最新の科学的知見にもとづくトレーニング、セミナー、eラーニング講座、コーチング、継続的サポートなどを世界各地の企業および個人に提供すると発表している。近著に『Thrive』(邦題『サード・メトリック しなやかにつかみとる持続可能な成功』CCCメディアハウス)。最新刊『The Sleep Revolution』(邦題『スリープ・レボリューション』日経BP社)は米国で15万部のヒットに。

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