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ポストコロナの時代、がん患者・がんサバイバーが心がけるべきこととは

「がん患者本位のエンゲージメント」を考える会が示したがん医療の新しいかたち

 千田敏之=医療ジャーナリスト

この20年でがん治療は格段に進歩した

天野 もう1点特に伝えたいのは、がん医療が昔と比べて格段に進歩しているということです。

 今でも、がん治療を途中でやめるとか、病院に行かず民間療法で治す、といった人が少なからずいます。そういう方でしばしば見られるのが、昔、ご自身の家族や周囲の方ががんの治療を受けたときの経験や見聞でそうした決断をされる人です。

 ただ、この20年ほどの間に、がん治療は大きく進歩しました。かつては抗がん剤も殺細胞性のものしかなく、副作用がきつい割に効果はそれほど高くはありませんでした。

 しかし、2000年代に入ると、分子標的薬、抗体医薬、最近であれば免疫チェックポイント阻害剤といった、まったく新しい仕組みで、効果も高い薬剤が出てきています。放射線治療についても、重粒子線や陽子線など、さまざまな線種が使われるようになり、また、がんの部位だけに放射線を当てる技術も進歩しています。

 そのようながん医療の進歩を是非知ってもらいたいですし、また、がん患者さんを支えたり、相談できる仕組みが、医療機関だけでなく自治体や職場などでも整備され始め、療養する環境も整ってきていることも、是非知ってほしいと思います。

患者も医療を受けるときの基本的な素養を身に付けるべき

患者さん、一般の人、ということでは、「ビジョン3 がん患者が主役となって自分らしく生きるための素養とスキルを身に付ける」では、患者さんや一般の人も、病気について学んだり、医療を受けるときの基本的な素養を身に付けよう、と提言していますね。

天野 とても重要な提言だと思います。がん医療は進歩していると先程強調しましたが、一方で人間は不老不死ではないのも厳然たる事実です。がん医療がどれだけ進歩しても、助からない患者さんはいます。

 そこで何が大切かというと、患者さん自身が治療法を選び、納得して治療を受けることです。医療がベストを尽くしたとしても、患者さんにとってそれが必ずしもいい結果になるとは限りません。医療には不確実性が常に伴います。

 ですから、医師の考え、勧めにただ従うのではなく、患者さん自身も自分の病気や治療法についてよく学び、納得して治療を受けるという姿勢が必要になってくるのです。

 加えて、さまざまな治療法の選択肢が出てきて、治療後の療養の仕方も変わってきたことも、患者さんが自ら治療法を選択しなければならない理由の一つでもあります。

治療後の療養の仕方も変わったと言いますと。

天野 抗がん剤による化学療法が進んだことで、病院の外来に通っての治療が主流になってきました。そうなると、仕事をしながらだとか、今まで通りの日常生活を送りながら治療を受けることも可能になってきました。

 つまり、早期の治癒を期待して強めの治療を選ぶこともできますし、あるいはよりマイルドな治療を選択して、がんをある程度抑えながら治療を継続していくという選択肢も選べるようになってきたわけです。

 そのように、多様な治療法の中からどちらを選ぶか、となったときに、患者さんの価値観や人生観が重要になってきます。自分の価値観や人生観に合った治療法を、自ら選び決めていくには、やはり自分のがんや治療法のことや、医療を受ける際のマナーなども、ある程度知っておく必要があるのです。

昔はパターナリズムと言いますか、「治療は私に任せておけ」という医師が多かった印象ですが。

天野 そうですね。それで患者さんも医師に任せきりにしてきた時代もありました。しかし、今はだいぶ変わってきています。

 ただ、今でもお年を召した方の中には、「先生に全部お任せします」という方はおられます。また、医師の方から「どの治療法にしますか」と聞かれて、「患者に決めさせるなんて、頼りない医者だ」と言う方もおられます。

 でもそれは間違っています。医療を受ける患者さん自身にも、治療法を決定する責任があるのです。それは先程お話ししたように、医療が不確実だからということもあるし、患者さんの価値観を反映した治療を行うためでもあるのです。

がん
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