スーパー大麦で、太りにくい体質を作る「やせ形腸内フローラ」に?!
「睡眠の質が上がった」という報告も
柳本 操=ライター
スーパー大麦の特徴は、そのバリエーション豊かな“食物繊維”にある。豊富に含まれるフルクタン(水溶性多糖類)、β-グルカン(水溶性食物繊維)は、いずれも腸の有用菌のエサとなり、腸内環境改善を促す。
さらに、第三の食物繊維とも言われる「レジスタントスターチ」は、スーパー大麦で特徴的に多く含まれる成分。レジスタントスターチは不溶性の消化されにくいデンプンで、腸内細菌によって発酵される特徴を持つ。スーパー大麦の場合は胚乳に含まれるこのデンプンが、水溶性食物繊維に守られ、さらにその外側を細胞壁が守るという構造のために、消化酵素の影響を受けにくく、腸の奥まで到達する性質を持っている。
これら広義の“食物繊維”は、「それぞれ分子量が異なり、分子量が最も小さいフルクタンが最初に腸内細菌に食べられ、その次にβ-グルカンが、そして最後に分子量の大きいレジスタントスターチが腸の奥にすみ着いている腸内細菌に食べられる、というふうに腸のそれぞれで発酵する場所が異なるのです。つまり、スーパー大麦をとると、腸の奥にまで食物繊維が届き、発酵を促すと考えられます」と松井さんは説明する。
スーパー大麦で「短鎖脂肪酸」が増える!
腸内で発酵する性質を持つこれらの“食物繊維”を腸内細菌が食べると、腸内環境を改善する「短鎖脂肪酸」を生み出す、という効果が近年注目されている。短鎖脂肪酸のうち、「酪酸」は大腸の上皮細胞のエネルギーを作り、「プロピオン酸」は肝臓でエネルギー消費を高める。「短鎖脂肪酸は、腸粘膜の健康を維持し、腸のバリア機能を高め、大腸の発がん物質である有害な毒素の産生を抑えるなど、全身の健康に関わる働きをすることが分かってきました」と松井さん。
松井さんらが昨年国内で行った研究がある。スーパー大麦を1日12g食べることができるよう設計されたショートバーとクッキーを、20歳から65歳の男女18人が4週間食べるという試験によって、以下のような結果が確認されたという。
- ロ 排便回数が増加、排便量も増加
- ロ 腸内の有用菌が産生する「短鎖脂肪酸」である「プロピオン酸」「酪酸」が有意に増加
- ロ 腸内細菌叢(そう)を解析すると、「酪酸」を産生するバクテロイデスの比率が増加、有用菌のビフィズス菌の比率が増加、血糖値改善に関与するプレボテラの比率が増加
松井さんは、「1日12gのスーパー大麦を目安として継続してとることで、短鎖脂肪酸が増えます。さらには、腸の有用菌を増やし、腸内細菌叢(腸内フローラ)を改善することが期待できます」と話す。