気付きにくい? 高齢者の低温やけどに注意
「皮膚感覚が鈍る高齢者、重症化しやすい」と消費者庁が注意呼びかけ
日経Gooday編集部
例年12月~翌2月にかけて、暖房器具やカイロの使用によってやけどを負う事故が多発する。特に高齢者は若い人に比べて皮膚が薄く、運動機能や感覚機能が低下するため、重いやけどを負うリスクが高い。消費者庁は、暖房器具やカイロの使用が本格化するこれからの季節、高齢者のやけどに注意するよう呼びかけている。
カイロや湯たんぼなどの使用で低温やけどを起こしやすい

高齢者に特に多いやけどとして、同庁が注意を呼びかけているのは、「低温やけど」「着衣着火」「ストーブに置いたやかんなどの熱湯を浴びる事故」「入浴に際しての事故」の4つ。中でも低温やけどの事故は、過去6年間(2009年9月1日~2015年9月末)に119件報告されており最も多い。高齢者は皮膚感覚が鈍ってしまうためカイロや湯たんぽなどの熱源に接する時間が長くなり、重症化しやすいという。報告件数のうち10件が入院治療を必要としていた。
低温やけどを起こした原因の製品の内訳は、カイロ(28件)、湯たんぽ(19件)、ストーブ類(18件)、電気毛布・あんか(12件)と続いた。
「熱い」と感じないままやけどを起こしていることも
低温やけどとは、温かく感じる程度の温度のものに長時間皮膚が接することで起こる熱傷のこと。「熱い」という自覚のないままやけどを起こし、痛みが少なく、水ぶくれができにくいなど症状は軽く見えるが、熱源に長時間接しているため皮膚の深部まで炎症が起こっていることも少なくないという。
同庁は、低温やけどの事故を防ぐための注意点と対処法として、次の3点を挙げている。
- 長時間同じ場所を温めない。
- 就寝中は高温で使用しない。
- 痛みや違和感がある場合は医療機関を受診する。
(44°Cでは3~4時間、46°Cでは30分~1時間、50°Cでは2~3分で皮膚が損傷を受けるといわれている)
(湯たんぽやあんかは布団が温まったら出す、寝る時にカイロを使わない、電気毛布などは高温で使用しない)
(低温やけどは水で冷やしても効果がない。見た目より重症の場合がある)
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