老化制御に有用な成分NMNに注目
NOMONはニュートラシューティカル製品で老化抑制を目指していますが、そもそも老化とは制御できるものなのでしょうか。
山名 混同されがちなのですが、加齢と老化はイコールではありません。老化とは、加齢に伴う身体機能の低下。今のところ、ヒトは老化しますが、全員が一様に老化するわけではなく個体差があります。また、生き物の中には老化しないものもいます。例えばロブスターは老化しない。歳を取れば取るほど大きくなるし生殖能力も高まります。ベニクラゲは若返り能力があることが確認されています。そうしたメカニズムが分かれば、老化の制御は可能なはずです。
現在、世界では老化制御の研究はどの程度進んでいますか。
山名 既に証明されているのは、カロリー制限をすることでサルの寿命が延びるというところまでですね。ヒトに関しては今、試験が行われている最中で、まだ証明はされていません。ただマウスなどでは健康寿命や寿命を延ばす様々な候補物質があることが確認されています。その一つがニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)です。NMNを摂取すると体内でニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)という物質に変換されます。一方、NADはすべての細胞がエネルギーを生み出し、老化を制御するために必要な物質ですが、加齢とともに急激に減少してしまいます。つまり、NMNを摂取することでNADを補充し、老化を抑えることが期待できるのです。壊血病の予防にビタミンC、脚気(かっけ)の予防にビタミンB1をとるのと同じで、老化の抑制のためにNMNをとる。NMNは“抗老化ビタミン”のようなものです。
実際の研究では、2016年に米国のワシントン大学の今井眞一郎教授が発表した論文で、NMNを投与したマウスの全身の組織で老化が抑制されたことが明らかになりました。現在、複数の機関がヒトでのNMNの作用について検証中です。例えば大阪大学では身体的フレイルを伴う65歳以上の糖尿病の男性を対象に臨床試験を行っています。
日本人の高齢者が時代とともに体力的に若返っているというデータもあります。高齢者の歩行速度は年々向上し、2017年の85歳以上の歩行速度は25年前に比べ男性で約10歳、女性で約20歳若い年代と同等になっています。栄養の改善や生活スタイルの変化のほか、健康に関する知恵が共有され、一人ひとりのヘルスリテラシーが向上したことが要因だと見ています。若返りはできるということです。
避けなくてはならないのはネガティブスパイラルに入り込むこと。歩行速度が落ちて信号を渡りきるのが難しくなってしまった高齢者は街に出ようとはしません。そうすると一層、神経の機能や筋力が落ちて歩くことが困難になってしまいます。
NOMONでは健康維持に科学的根拠を持つ“ニュートラシューティカル”としてNMNを販売していますね。どのようなものがありますか?
山名 NOMONがニュートラシューティカル事業の第1弾として2019年5月に発売したのがNMNを配合したサプリメントです。また、第2弾として昨年11月には本わさびの根茎から抽出した健康成分わさびスルフォラファンを含むサプリメントも発売しました。わさびスルフォラファンには、活性酸素を発生させないよう細胞に働きかける抗酸化作用があります。また、体内のNRF2という分子を活性化し、環境などの外的ストレスや活性酸素など内的ストレスの影響を受けにくくします。
サプリメント開発に当たっては様々な情報を精査しましたが、老化の抑制に効きそうな物質はそれほど多くありません。いずれの製品も、その中で細胞の根源的なところにアプローチする、老化抑制の上で外せない成分を取り入れた製品です。