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大流行の可能性の「新型ノロウイルス」、対策は?

かかりやすいだけに、とにかく「手洗いの徹底」を!

 大谷珠代=日経Gooday

ノロウイルス対策は1に手洗い、2に手洗い。(©subbotina 123-rf)

 前回の記事(「大流行懸念される『新型ノロウイルス』、なぜ怖い?」)でお伝えした通り、新型ノロウイルスが流行の主要株になれば、感染者が増えやすく、ノロウイルスが例年にないほど大流行する恐れがある。では、私たち一人ひとりはどんなことに気を付ければいいのだろうか。

 国立感染研究所ウイルス第二部第一室の片山和彦室長によると、新型ウイルスにかかったときの症状や予防策は従来のノロウイルスの場合と特に変わらない。ただ、「新型の場合、これまで獲得した免疫が役に立たず『かかりやすい』のは確かなので、『手を洗う』ことの重要性は今一度見直してほしい」という。手洗いのポイントをはじめ、ノロウイルスを寄せ付けない&まき散らさないために日々心掛けるべきことを片山室長に教えてもらったので、参考にしてほしい。

Check1 「トイレ後」「食べ物に触る前」には手洗いを
 特に忘れてはいけないのは「食べ物に触る前に」手を洗うこと。「新幹線の車内や研修会の場など、いろいろなところで観察する限り、お弁当を食べる前に手を洗っている人は少ないように見受けられるが、万一手にウイルスが付いていたらアウト。トイレを済ませた後はもちろんのこと、食べ物に触ったり、食べたりする前も、必ず手洗いをしてほしいものです」(片山室長)。

Check2 手を洗う場合は石鹸を付けて!
 手を洗う場合は、必ず流水で洗うこと。おてふきやウェットティッシュで拭く程度では、ウイルスは十分に取り除けないからだ。「石鹸をつけて手全体に広げた後、石鹸が落ちるまで洗えばOK。石鹸を付けるのがいいのは、界面活性剤の作用で付着した汚れをはがす効果があるのと、石鹸をつけた以上は誰でもそれが落ちるまでは洗うから。完璧に洗わなくてもいいので、それよりは洗う頻度を高めてほしい」(片山室長)。

Check3 手洗い後は水気を拭き取る・まき散らさない
 手洗いの後、手をぶるんぶるんと振って水気を飛ばす人もいるが、そうすると、手に残っていたウイルスが飛び散る可能性もあるので、ペーパータオルか手持ちのハンカチで水気を拭き取ろう。

 また、手洗いの仕上げ用にアルコール系の消毒薬を置いてあるトイレもあるが、「アルコール系の消毒薬は、手洗いの代わりにはならないが、手を乾きやすくしたり、ペーパータオルで拭き取る際の仕上げに使うなどして積極的に利用するとよい 」(片山室長)。

Check4 便座や便器の蓋は拭く
 トイレでは、便座を通じて感染することもあるため、便座クリーナーや流せるタイプのウェットティッシュなどで便座を拭いてから使用すること。拭けるものがない場合、紙製の便座用シートやトイレットペーパーを敷いて使うのも有効だ。なお、便座だけでなく、便器の蓋にもウイルスが付いている可能性があるので、便座を拭く際は、できれば蓋の裏まで拭きたい。アルコール系の便座クリーナーなども、拭き取るための補助として積極的に利用するとよいだろう。

Check5 人ごみではマスクの着用を
 マスクは意味がないと言う人もいるが、人ごみに出る際はおすすめだ。「ノロウイルスは単独で飛ぶことはなく、水滴や埃に乗って飛んでいるので、埃や水滴が口に入るのを防げれば十分であり、ウイルスを通さないような高価なマスクでなくても大丈夫」(片山室長)だという。また、「マスクをしていると食べ物を食べる前に手を洗うことを思い出すきっかけになり、その意味でもマスクの着用はおすすめ」だそうだ。

 11月になりぐっと冷え込むことが多くなった。ノロウイルスの感染は、急に気温が低下したときに増える傾向があるそうなので、これからのシーズンは特に注意したい。予防策や対策については、「ノロウイルス、どうすればうつらない? うつさない?」の記事もご参考に。

片山和彦(かたやま かずひこ)さん
国立感染症研究所ウイルス第二部第一室室長
上西一弘(うえにし かずひろ)さん

1985年、東京農工大学蚕糸生物学科卒業、株式会社ビー・エム・エル基礎研究部を経て、1990年、国立予防衛生研究所(現、感染症研究所)協力研究員に。2001年、国立感染症研究所ウイルス第二部主任研究官、2005~2007年、米国ベイラー医科大学分子ウイルス学部メアリー・エステス教授の研究室にリサーチアソシエートとして留学、2009年、国立感染症研究所ウイルス第二部第一室室長に。2014年より東北大学大学院医学系研究科大学院非常勤講師を兼任。国際ウイルス分類委員会(ICTV)・カリシウイルス研究グループメンバー、国際カリシウイルス会議役員。