自宅で服薬できる花粉症免疫療法に医師の8割が期待
長期服用のコンプライアンスや副作用への対応には懸念
加納亜子=日経メディカル
スギ花粉症に対する国内初の舌下免疫療法薬(シダトレンスギ花粉舌下液)が2014年10月に発売された。シダトレンの発売によって、抗アレルギー薬の使用や鼻粘膜焼灼術などの対症療法が中心とされていたスギ花粉症への治療に、新たな選択肢が増えることとなる。
舌下免疫療法は、アレルギー疾患の原因であるアレルゲンを舌下に投与して徐々に増量し、アレルゲンへの反応を減弱させることで、炎症反応を低下させる減感作療法の1つだ。
実際の治療では、開始から1~2週目の増量期と3週目以降の維持期に、それぞれ定められた量のスギ花粉エキスを1日1回舌下投与する。投与後は2分間、エキスを舌下に保持した後に飲み込み、その後5分間はうがいや飲食は控えるようにする。効果を得るには最低でも2年間、治療効果を継続させるには3~5年間続ける必要があるとされている。
治験では、2割弱の患者が寛解となり、自宅での服薬が可能な新たな治療法と注目されているシダトレン。花粉症を診ている医師はどのように捉えているだろうか。日経メディカル Onlineの医師会員を対象に、アンケートで聞いてみた。
シダトレンを使った舌下免疫療法の効果に期待しているかを尋ねたところ、花粉症診療を行っている医師1744人の回答は「強く期待している」が15.5%、「ある程度期待している」が61.8%、「あまり期待していない」が21.0%、「期待できない」1.7%(図1)。全体の約8割が期待していることが分かった。
その理由を尋ねたところ、「強く期待している」「ある程度期待している」医師1348人では、「自宅での治療が可能となり、患者の負担が減る」(733人)が最も多く、「舌下免疫療法にかなり期待している」(610人)、「患者への侵襲性が低い」(566人)と続いた(図2)。
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