自宅で服薬できる花粉症免疫療法に医師の8割が期待
長期服用のコンプライアンスや副作用への対応には懸念
加納亜子=日経メディカル
一方で、「期待できない」「あまり期待していない」医師396人では、「舌下免疫療法で効果が得られるか、疑問」(134人)、「長期の治療が必要となり、継続できる患者は多くないと予測される」(114人)、「国内におけるエビデンスが不足しており判断できない」(100人)、「患者指導に手間が掛かる」(100人)と答えていた(図3)。
処方に踏み切る医師は4割程度
大半が舌下免疫療法による花粉症治療に期待しているものの、実際に患者に勧める意向の医師は意外と少ない結果となった(図4)。現段階で花粉症患者にシダトレンを勧めるかを尋ねると、「全例に勧める」が4.0%、「患者を選んで勧める」が33.5%、「患者が希望すれば対応する」52.9%、「勧めない」9.6%。約半数が患者の希望があればと答え、基本は様子見という姿勢が明らかになった。
「全例に勧める」「患者を選んで勧める」と答え、積極的に処方する姿勢を示した医師654人の回答理由は「治療効果が期待できるため」(333人)、「自宅での治療が可能となり、患者の負担が減るため」(306人)、「患者への侵襲性が低いため」(253人)を挙げた(図5)。
「勧めない」「患者が希望した場合のみ対応する」と答えた医師は1090人。「国内におけるエビデンスが不足しており判断できない」(265人)、「患者指導に手間が掛かる」(235人)、「自宅での治療が可能となり、患者の負担が減るため」(221人)、「長期の治療が必要となり、継続できる患者は多くないと予測される」(215人)をその理由に選んだ(図6)。自宅で容易に服用が可能な半面、長期服用のコンプライアンスや副作用としてのアナフィラキシーの発症などの懸念が浮き彫りになった。
これらの結果から、花粉症を診る医師のほぼ8割はこの新薬に期待感を持っているが、実際の投与は様子を見て徐々に増やすという状況が示された。治療の普及には、エビデンスの蓄積はもちろん、自由記述欄(次ページ)にあるように、治療効果が得られなかった場合の対応方法、アナフィラキシーなどの急性アレルギー反応に関する説明法、服薬コンプライアンスを高める方法などの模索も求められそうだ。
