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トピックス

大動脈弁狭窄症の新治療法「TAVI(タビ)」って?

専門医が語るTAVIのメリットと課題

 伊藤左知子=医療ジャーナリスト

新治療法“TAVI”は胸を開ける必要がないのが特徴

 大動脈弁狭窄症の治療は、長い歴史で安全性などが担保されている大動脈弁置換術がスタンダードだが、85歳以上の高齢者などで、肺機能、腎機能など他の臓器の機能が低下している人では、胸を開けて人工心肺に繋ぐ手術は、体力的に負担が大きい。

 「そういう人のために、欧州で開発されたのが、TAVIという治療法です」と手取屋さん。

 TAVIはTranscatheter Aortic Valve Implantation の略語で、日本語で「経カテーテル的大動脈弁植え込み術」という。2002年にフランスで開発され(アラン・クリビエ医師)、海外ではすでに10万例以上(2014年8月時点)の患者に行われているとされる。日本では2013年10月に保険適用になったばかりの新しい治療法だ。

 「現在、日本で行われているTAVIの治療法は、太ももの付根の大腿動脈という血管や胸部の血管などからカテーテルを入れ、バルーンで狭窄部位を広げた後、小さく折りたたんだ人工弁を治療部位で広げて圧着させる治療法です。胸を開けることも、心臓を止めることもせずに治療を行うことができるため、患者さんの体への負担は従来の手術に比べ大幅に軽減します」と手取屋さんは語る。

■TAVI治療法とは
■TAVI治療法とは
TAVIは血管などからカテーテルを入れ、バルーンで狭窄部位を広げてそこに小さくして入れた人工弁(図の上)を広げて圧着させる治療法。カテーテルを太ももの付根の大腿動脈という血管から入れる場合と、胸部から入れる場合の大きく2つのアプローチがある。(上尾中央総合病院HPより)
[画像のクリックで拡大表示]

 ただし、TAVIはまだ歴史の浅い治療法で、現在、保険適用の治療を受けることのできる患者は原則として85歳以上の高齢者。そのため、現時点で報告されている治療後の生存期間は最長で6.5年だという。TAVIで使用する生体弁の機能について大きな問題は指摘されていないそうだが、耐久性などの評価については、これからの段階にある。

 「TAVIは良い治療法ですが、現在のところ、安全性や生体弁の耐久性の面からいっても、治療の第一選択は、あくまで外科的な大動脈弁置換術です」と手取屋さん。体への負担が少ないのは事実だが、安全性や耐久性などを考えると、現段階ではTAVIが患者の自己判断のみで選択できる治療法とは言えないことを強調する。

◆TAVIの対象となるのは・・

  • 高齢者(概ね85歳以上)
  • 過去に開胸術や胸部への放射線治療歴などの既往のある人
  • 肺気腫、COPDなどの呼吸器疾患を持っている人
  • 肝硬変などの肝疾患を持っている人
  • 縦隔炎の既往のある人
  • など

◆TAVIを受けられないのは・・

  • 従来の外科的大動脈弁置換術が可能と判断された方人透析中の人
  • 重度の心不全の状態にある人
  • 高度な逆流弁膜症をともなう人
  • 大動脈弁がエコーにて単尖弁もしくはニ尖弁と確認されている人
  • 末期の悪性疾患がある人
  • など

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