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「加工肉」の発がんリスク、日本人への影響は?

WHOの発表に国がんは「極端に摂取量を制限する必要はない」

 田村 知子=フリーランスエディター

大腸がんの赤肉以外のリスク因子は肥満、高身長、男性の飲酒

 日本では2人に1人が一生のうちに何らかのがんにかかるといわれており、中でも大腸がんの罹患率が増加している。国立がん研究センターが2015年8月に発表した「院内がん登録2013年集計報告」(全国409のがん診療連携拠点病院における診療実績)では、がん全体の症例数は前年より約7%増加。男性のがんでは、2007年の集計開始以来最多だった胃がんに代わり、大腸がんが初めてトップとなった。大腸がんが増加した背景の1つには、食生活が欧米化したことにより、野菜類などの摂取量が減り、肉類の摂取量が増えたことが挙げられている。

 前述したWCRFとIACRの報告では、大腸がんのリスクを高めることが「確実」としているのは、赤肉と加工肉以外には、肥満、高身長、男性の飲酒。女性の飲酒は「ほぼ確実」とされ、「示唆的」なものには鉄分や砂糖を多く含む食品、高動物性脂肪食品、チーズが挙げられている。逆に、大腸がんのリスクを下げることが「確実」なものには運動、「ほぼ確実」なものには高繊維食品、ニンニク、牛乳、カルシウム、「示唆的」なものには野菜、果物、魚などが示されている。

表1◎ 大腸がんのリスクを下げる要因とリスクとなる要因
証拠の強さリスクを下げる要因リスクとなる要因
確実運動肥満、高身長、飲酒(男性)、赤身肉、加工肉
ほぼ確実高繊維食品、ニンニク、牛乳、カルシウム飲酒(女性)
示唆的野菜、果物、魚、高葉酸食品、高セレン食品、高ビタミンD食品、セレン高鉄食品、高動物性脂肪食品、砂糖食品、チーズ
ほとんどなし穀物、イモ類、鶏肉、貝類、砂糖、コーヒー、茶、カフェイン、総脂肪、脂肪酸組成、コレステロール、炭水化物、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、カロテノイド、カルシウム補助剤
World Cancer Research Fund and American Institute for Cancer Research: Colon and rectum. In: Food, Nutrition, Physical Activity and the Prevention of Cancer: a Global Perspective, p280-288, American Institute for Cancer Research, Washington DC, 2007.より

国がん「極端に摂取量を制限する必要はない」

 赤肉には健康維持に有用なたんぱく質やビタミンB、鉄や亜鉛などのミネラルが豊富だ。また、赤肉に含まれる飽和脂肪酸はとりすぎると動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞のリスクを高めるが、摂取量が少なすぎると、脳卒中のリスクが高まることも分かっている。日本では心筋梗塞よりも脳卒中の罹患率の方が高いこともあり、国立がん研究センターでは「今回の(IARCの)評価を受けて極端に赤肉の摂取量を制限する必要はないと言える」としている。

 がんは生活習慣病であり、予防には生活習慣全般に配慮することが大切だ。特に「禁煙」「節酒」「食生活の改善」「身体活動(運動)」「適正体重の維持」の5つの健康習慣を実践することで、がんになるリスクが低くなることが分かっている。食生活に関しては、栄養バランスが偏らないように気をつけ、塩蔵食品や食塩の摂取量を控えること(1日当たり男性で9g未満、女性で7.5g未満)、野菜と果物を意識的にとること、熱すぎる飲み物や食べ物は冷ましてからとることが勧められる。

●参考文献
IARC Monographs evaluate consumption of red meat and processed meat
国立がん研究センター「赤肉・加工肉のがんリスクについて」
・World Cancer Research Fund and American Institute for Cancer Research: Colon and rectum. In: Food, Nutrition, Physical Activity and the Prevention of Cancer: a Global Perspective, p280-288, American Institute for Cancer Research, Washington DC, 2007.
国立がん研究センター「がん診療連携拠点病院 院内がん登録 2013年全国集計 報告書」
がん情報サービス「日本人のためのがん予防法」

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