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フォルクスワーゲン事件で問題の「排ガス」がもたらす健康被害

肺の末梢まで到達して蓄積すると取り除けず、ぜん息、COPDのリスクに

 池田 悟=日経Gooday

気管支は肺の末梢まで伸びている。化学物質はその奥深くまで届き、蓄積することで、将来的に呼吸器疾患を引き起こすリスクを上げる。(©alexmit-123rf)
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 春先に飛ぶ杉花粉を例にとると、そのサイズは20~40ミクロン(1ミクロンは1/1000mm)で、気管支に入り込もうとすると「くしゃみ」「鼻水」「咳」などによって、ほとんどが体外に排出される。対して、大気中に浮遊するSPMは、10ミクロン以下であるために、気管支の奥深くに入り込んでしまうのだという。

 「肺の末梢に有害な化学物質が蓄積されていくと、やがて炎症を起こし、気管支ぜんそくや、肺胞を破壊する重篤な疾患である慢性閉塞性肺疾患(COPD)の原因にもなりかねません。実際、京都で行われた学童1万人を対象にした4年間の追跡調査では、ぜん息の発症率と交通による大気汚染での暴露量とに関連が見られたとの報告が発表されています。私のクリニックでも、呼吸器系に疾患を持つ患者には、主要幹線道路の近くに住居を構えているケースも少なくありません」(刑部院長)

「マスク」「空気清浄器」「フローリング生活」で防ぐ

 では、こうした目に見えない化学物資を避けるために、我々は日常からどんな対策を講じればいいのだろうか。

 「花粉症対策と基本的には同じになりますが、屋外でできることは、やはりマスクをつけて直接の吸引を極力避けること。特に大気が黄色く霞んでいる日や、光化学スモッグなどが出ているような場合に着用するといいでしょう。こうした心がけは排ガスの多い幹線道路や工場地帯にいるときも有効です。一方、室内では空気清浄器を活用し、できれば床面はフローリングにして、化学物質を生活用品などに付着させない方法も有効です。実際、ぜんそくを持つ患者にも指導していますが、かなり効果が出ます」(刑部院長)

 世界に冠たる自動車メーカーのフォルクスワーゲンが起こした今回の不正。規制を逃れた車による健康被害が生じれば、もはや企業としてのコンプライアンス問題にとどまらない。ぜん息はQOLに大きな影響を与える重大な病気で、COPDに至っては、現在の医学では治療が難しい疾患だ。刑部院長は、「呼吸器の専門医の立場から言えば『信じられない』のひと言です」と話す。

■変更履歴 本文中に一部不正確な表現がございましたので、修正いたしました。 [2015/11/02 18:00]
刑部義美(おさかべよしみ)さん
あざみ野おさかべクリニック院長
刑部義美(おさかべよしみ)さん 1976年、昭和大学医学部卒業後、昭和大学藤が丘病院第1期内科レジデントを経て、昭和大学藤が丘病院内科呼吸器に入局。2002年、あざみ野おさかべクリニックを開院。03年、昭和大学藤が丘病院内科呼吸器客員教授に就任。日本アレルギ-学会指導医・評議員、日本呼吸器学会指導医、日本呼吸器内視鏡学会指導医ほか。

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