高カカオチョコは腸内で善玉菌を増やす
チョコレートを食べるときは、カカオの含有量にも注目を!
伊藤和弘=フリーランスライター
このところ、腸内フローラ(腸内細菌群)に対する注目が高まっている。腸内フローラは全身の健康に大きく関わり、太った人や糖尿病の人に共通する悪玉菌もいるという。そんな中、大手食品メーカー明治と帝京大学は共同で「チョコレート摂取による腸内環境改善効果の探索的研究」を行い、高カカオチョコレートの摂取が腸内フローラに与える影響を調べた。9月29日、東京都千代田区で行われた研究成果発表会の内容をお届けしよう。
ライフスタイルで腸内フローラは変わる

まず「長寿菌が健康寿命を決める」と題し、理化学研究所イノベーション推進センターの辨野(べんの)義己さんが腸内フローラの重要性を語った。
人間の腸の中には1000種以上、実に600兆個を超える細菌が存在。その総重量は1kg以上になるという。腸内細菌には人間の健康にプラスに働く善玉菌とマイナスに働く悪玉菌、どちらともいえない日和見菌がいるが、辨野さんによると「肥満、糖尿病、がんに関係する悪玉菌がいることも分かってきた」という。腸内細菌はおなかの調子にとどまらず、全身の健康にも大きく影響しているわけだ。
2011年から2013年にかけて、辨野さんたちは3220人の腸内フローラを解析。腸内フローラは性別、年齢によっても異なるが、ライフスタイルも大きく関係していることを確認した。若い女性でも不摂生な生活をしていると中高年男性に多いタイプの腸内フローラになってしまうこともあり、食生活を中心としたライフスタイルを改善することで腸内フローラも改善するという。
善玉菌の中でも大切なのは?
「善玉菌の中でも大切なのは、酢酸を産生するビフィズス菌と、酪酸を産生するフィーカリバクテリウム(大便桿菌)や大便球菌。これらは健康長寿に直結する菌で、私は“長寿菌”と呼んでいます」(辨野さん)
食物繊維や乳酸菌が多い食事、適度な運動と睡眠、規則正しい生活サイクル。これらを心がけることで、ビフィズス菌や酪酸産生菌が増えていく。「これらの菌が増え、腸内フローラが改善されることで免疫機能が高まり、病気になりにくくなります」と辨野さん。だから“長寿菌”というわけだ。
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