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コロナワクチンの効果はいつまで続くのか

接種から8カ月後までの海外の研究報告を5つまとめて紹介

 大西淳子=医学ジャーナリスト

 新型コロナウイルスに対するワクチンを2回接種した後、獲得した免疫はどれくらいの期間有効なのか。3回目の接種はいつすべきなのか――。新型コロナワクチンの接種が進むにつれて、ワクチンの効果の持続期間に対する関心が高まっています。今回は、最近報告された海外の研究結果を5つまとめてご紹介します。いずれの研究も、現時点では「ワクチンによって誘導される抗体の量は時間とともに減少し、ワクチンの感染予防効果も低下する。しかし、入院や死亡を予防する効果はある程度維持される(またはほぼ変化しない)」という結論を示しています。

コロナワクチンの効果持続についての研究結果が相次いで報告されています。(写真はイメージ=123RF)
コロナワクチンの効果持続についての研究結果が相次いで報告されています。(写真はイメージ=123RF)

医療従事者や高齢者の3回目の接種はいつ?

 日本でも国民の7割近くが新型コロナワクチンの2回の接種を終えました。一方で、国内で接種が始まった2月以降の早い時期に接種を受けた医療従事者や高齢者においては、2回の接種を完了してから6カ月以上が経過しています。

 接種を完了した人が新型コロナウイルスに感染するブレイクスルー感染も報告されていますが、一般の人に対する3回目の接種の開始がいつになるかはまだ明らかになっていません。

 そんな中、米疾病管理予防センター(CDC)は、9 月24日付の疫学週報(MMWR)で、ファイザー社、モデルナ社、ヤンセン社(ジョンソン・エンド・ジョンソン社)のワクチンの接種を規定通り受けた人々を4カ月以上追跡し、新型コロナウイルス感染症による入院の予防効果について比較した結果を報告しました。さらに、米国、イスラエル、カタールで、ファイザー社のワクチンの接種を終えてからおおよそ6カ月後までの免疫反応や実際の予防効果を報告した論文、そして、小規模ではありますが、ファイザー社、モデルナ社、ヤンセン社(J&J社)のワクチンの接種を受けた人々の免疫反応を8カ月後まで追跡した論文が発表されました。

ワクチンによって産生される抗体の測定法と、
実際の予防効果の評価法

◆中和試験

血液(血清)中に存在する抗体が、ウイルスの細胞への感染をどの程度妨げる(中和する)ことができるかを調べる試験

(1)

実際の新型コロナウイルスを用いる方法

 新型コロナウイルス(パンデミック当初に流行した野生株や、その後見つかった変異株など)と、倍倍希釈した血清を混合したものを培養細胞に加え、感染による細胞変性(細胞同士が融合して大きな細胞を形成すること)がどの程度起こるかを観察します。これは、ウイルスに血清中の抗体が結合すると、細胞への感染性が失われることを利用した、特異性が最も高く、感度も良い検査法です。通常は、血清を加えずにウイルスを培養細胞に加えた場合に比べ、細胞変性を50%阻害したときの血清希釈率を抗体価の指標とします。感染力を持つウイルスを実験に使うため、特殊な設備を持つ施設でしか行えません。

(2)

新型コロナウイルスの偽ウイルスを作製し、(1)と同様の実験を行う方法

 安全なウイルスに、新型コロナウイルスのスパイクたんぱく質(ウイルス表面のトゲトゲした部分で、人の細胞内への侵入に不可欠なたんぱく質)を発現させた疑似ウイルスを作製し、(1)と同様に細胞変性を阻害する血清希釈率を調べます。バイオセーフティーレベルが低い施設でも行えますが、結果を得るまでに数日を要する点では(1)と同様です。

◆抗体定量検査

血清中に存在する、新型コロナウイルスのスパイクたんぱく質に対するIgG抗体を定量的に検出する検査

 ワクチンによって誘導される抗体は、ウイルスのスパイクたんぱく質に結合することにより、ウイルスが細胞のACE2(アンジオテンシン変換酵素2)に結合し、侵入することを妨げる働き(中和作用)をします。血清中に含まれる、ウイルスとACE2の結合を妨げる抗体(IgG抗体)の量を調べる検査がIgG抗体定量検査です。

 例えば、アボット社の「ARCHITECT SARS-CoV-2 IgG II Quant」は、精度が確認された研究用試薬として、国内外で研究に用いられていますが、国内の一部の医療機関では、これを用いた検査を自費で提供しています。得られるデータは、感染力を持つ新型コロナウイルスを用いた、(1)のような検査法の結果との相関が高いことが確認されています。ただし、「ARCHITECT SARS-CoV-2 IgG II Quant」では、50 AU/mL以上なら抗体あり(抗体陽性)という判定が出ますが、陽性か陰性か、という判定基準は、実際に感染するかどうかや入院するかどうかのリスクに基づいて決定されたものではありません。陽性者の中には、抗体レベルが少ない人と非常に多い人が混在しています。

※以上のような中和試験や抗体定量検査は、ワクチンによって誘導された抗スパイクたんぱく抗体の量を示しますが、現時点では、感染や発症の予防に必要な抗体量がどのくらいかは明らかになっていないことから、解釈には注意が必要です。

◆ワクチンの効果の評価

 ワクチンの実際の効果は、新型コロナウイルスの感染を予防する効果、入院を予防する効果、重症化を予防する効果、死亡を予防する効果などを指標に評価されています。臨床試験の段階から用いられたのは、ワクチン接種者と非接種者を対象に、新型コロナウイルスに感染した人や入院した人の割合を比較する方法で、一般の人々を対象とする接種が開始されて以降も、経時的な評価が続けられています。

 大規模な集団を対象に、信頼性の高いデータを得ることはできますが、1人1人が感染しているウイルス株(どの変異株に感染したのか)を特定する、また、ブレイクスルー感染者の感染時点の血清中の抗体レベルを調べる、といったことは、一部の患者に対してのみ行われているにすぎません。ワクチンの効果が今後どうなるのかを予測することはまだまだ難しい状況です。

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