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トピックス

コロナワクチンの効果はいつまで続くのか

接種から8カ月後までの海外の研究報告を5つまとめて紹介

 大西淳子=医学ジャーナリスト

ファイザーとモデルナでは4カ月以降の入院予防効果に差

 まず2021年9月24日付でCDCの疫学週報に掲載された研究結果(*1)を見ていきましょう。米国では、ファイザー社とモデルナ社のmRNAワクチンの2回接種と、ヤンセン社のアデノウイルスベクターワクチンの単回接種が行われています。CDCの研究者たちは、これらのワクチンの入院予防効果を評価するために、3月11日から8月15日までの期間に米国内18州の21病院に入院した、18歳以上の、免疫抑制状態ではない3689人(年齢中央値は58歳、48%が女性)のデータを分析しました。

 新型コロナウイルス感染症が疑われた入院患者にPCR検査を行って、陽性だった人を「ケース(症例)」とし、陰性だった人を「コントロール(対照)」として、それぞれの集団のワクチン接種率を比較し、入院予防効果を推定しました。この分析方法は、結果に影響する見えないバイアスを補正する可能性を高めます。

 必要な回数のワクチン接種を終えてから14日以上経過していた人を接種完了者として、それ以降の入院について分析した結果、対象期間中の入院予防効果は、モデルナ社のワクチンを接種した人では93%で、ファイザー社のワクチンを接種した人の88%ヤンセン社のワクチンを接種した人の71%より有意に高かったことが明らかになりました。

 接種完了日(規定の回数の接種を終えて14日後)から120日後までの期間で区切ってみると、ワクチンの入院予防効果は、モデルナ社は93%、ファイザー社は91%でした。一方、120日後以降になると、モデルナ社のワクチンの効果は92%(追跡期間の中央値は141日)に維持されていたのに対し、ファイザー社は77%(中央値143日)で、有意に低下していました(表1)。

表1 それぞれのワクチンの新型コロナ入院予防効果
表1 それぞれのワクチンの新型コロナ入院予防効果
(CDC MMWR. Sep 24, 2021 / 70(38);1337-1343.)

 これら2種類のmRNAワクチンの間に見られた効果の差には、ワクチンに含まれるmRNAの量の違い(モデルナ社のワクチンのほうが多い)、接種間隔の違い(モデルナ社ワクチンは4週間でファイザー社ワクチンは3週間)、接種対象者の特性の違い(年齢や基礎疾患など、今回の分析では考慮せず)、また、分析対象となった期間中に米国内で主に流行していた変異株とその割合(今回の分析では考慮せず)、といった要因が関与する可能性があります。

 研究者たちは、「この分析結果はワクチンの予防効果に差があることを示唆したが、米国で接種されているワクチンはすべて入院を予防する実質的な効果を接種者に与える」と述べています。

どのワクチンも8カ月後には抗体が急減、細胞性免疫応答は維持

 小規模な研究ではありますが、米国の研究者がワクチン接種者の血液(血清)を調べて、ワクチンによって誘導された抗体と細胞性免疫(免疫細胞自体が外から入ってきたさまざまな異物を直接攻撃する反応のこと)の経時的な変化を追跡したデータも公開されました(*2)。

 対象は、ファイザー社のワクチンを2回接種した31人と、モデルナ社のワクチンを2回接種した22人、およびヤンセン社のワクチンの1回接種を完了した8人です。規定された回数の接種を終えてから2~4週間後の、抗体反応がピークを迎える時点から、初回接種の8カ月後まで、これらの人々から定期的に血液を採取し、上述した(1)の中和試験および(2)の偽ウイルスを用いる検査、さらに抗体定量検査を行いました。

 どの方法を用いた測定でも、接種完了後のピーク時点では高い抗体レベルが認められましたが、その後6カ月間の低下は急速でした。ファイザー社のワクチンの場合には、8カ月後の中和試験の結果はピーク時の34分の1、偽ウイルス中和試験の結果は4分の1、抗体定量検査の結果は29分の1になっていました。モデルナ社の場合も、それぞれピーク時の44分の1、6分の1、17分の1になっていました。ところがヤンセン社のワクチンの接種を受けた人では、評価が可能だったピーク時と8カ月後の抗体レベルに差はありませんでした。

 続いて、細胞性免疫応答についても経時的な変化を検討しました。新型コロナウイルス感染症の流行が始まった当初に分離された野生株と、その後報告された各種変異株由来のスパイクたんぱく質を混合して、血液標本に含まれていたT細胞を刺激しました。ワクチン接種により、スパイクたんぱく質を認識するT細胞が誘導されていれば、それらの細胞の内部にサイトカイン(インターフェロンγ)の産生が起こります。このサイトカインが新型コロナウイルスに対する細胞性免疫の主な担い手です。サイトカインを染色し、検出したところ、接種したワクチンの種類に関わらず、6~8カ月が経過しても、抗原に反応するT細胞の割合はピーク時から低下していないことが明らかになりました。

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