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病気の情報はまず図書館で 病院連携で専用コーナーや出張相談も

進む図書館と病院の連携

 福島恵美=ライター

 図書館でがんなどの医療・健康情報を発信しているところが増えている。国立がん研究センターは、日常生活に密着した場所の中で、がんの情報を得られる環境づくりの一環として、図書館と病院が連携するプロジェクトを進めている。「図書館であればインターネットが苦手な60代以上の患者でも落ち着いて情報を得られる」「病院と違って、病気になる前から身近な場所で医療・健康情報に触れられる」などのメリットがあるようだ。

 図書館で今何が起きているのか。自身もがんになったライター・福島恵美が、国立がん研究センターがん対策情報センターの八巻知香子さんに、図書館との連携プロジェクトや図書館活用法について聞いた。

がんなどの医療・健康情報を発信する図書館が増えている。写真はイメージ=(c)Benjawan Sittidech-123RF

元気なうちに、図書館で信頼できる情報に触れる

 「自分は健康。だからがんになるはずはない」と思っている人は、多いのではないだろうか。かくいう私もその一人。ところががんになり、自分の場合は告知されてから抗がん剤治療が始まるまでの期間は約2週間だった。その間、インターネットでがんのことを調べたけれど、冷静な状態で情報収集できたとは言い難い。

国立がん研究センターがん対策情報センターの八巻さん

 「医師からがんだと言われ、動揺している時は、『こうすれば治る』など耳に心地よい言葉に引っ張られ、冷静な判断がしにくいものです。元気な時にこそ、もし病気で困ったらどこに行けば信頼できる情報に触れられるのか、“情報の入り口”を知っておくことが大切。そうすれば、落ち着いて必要な情報を探せます。私たちは、日々の生活の中でがんの情報を届けることが必要だと痛感し、身近な公共施設として誰もが利用できる図書館と医療機関が連携するプロジェクトを進めています」と八巻さんは話す。

 ではなぜ、がんの情報収集をするのに図書館が適しているのか。

 「もともと図書館はゆっくり本や資料を読むことができる落ち着いた空間があり、図書の専門家の司書がいて、市民らが必要としている情報を届ける機関です。2000年前後から課題解決型図書館として、地域住民の生活の課題を助けるための図書や企画を提供する図書館が増えてきました。その課題の一つが医療・健康分野。これらの資料や、病気別に分類した闘病記などの本をそろえる図書館ができてきたのです」(八巻さん)

異なる3地域をモデルに連携の仕方を模索

 国立がん研究センターは、2014年度から3年間、医療・福祉・図書館が連携する、情報弱者向けがん情報ツールの作成と普及プロジェクトに取り組んだ。大阪府堺市、神奈川県逗子市、北海道日高地域の3エリアをモデル地域に選び、がんの情報を普及させるための連携の仕方を模索。それぞれの地域の特性を踏まえ、図書館、医療機関、自治体などと一緒に何ができるのかを検討した。

 例えば堺市の場合。

 国立がん研究センターは、点字図書館がある堺市立健康福祉プラザ視覚・聴覚障害者センターとの間でがん情報の普及に向けた協定を2012年に結び、ウェブサイト「がん情報サービス」の中でがんの冊子などを音読した音声資料を公開している(*1)。そのつながりから、堺市立図書館、市内にある2つのがん診療連携拠点病院(*2)、堺市の健康医療推進課とも一緒に活動を始めた。

 「具体的には、がんに関する講演会の共同開催や、行政担当者と図書館職員がコラボしたがんについてのチラシ作成、堺市立健康福祉プラザでのがんの講演会や出張がん相談会などです。病院ではない場所での相談会は、緊張感が薄れて気軽に話ができるようでした」(八巻さん)

 この事業は2016年度で終わっているが、連携のネットワークは残り、地域ぐるみの協力関係は続いているという。

図書館と病院が連携する福岡県の好事例

 図書館司書と、がん診療連携拠点病院にあるがん相談支援センターの相談員を対象にした「連携ワークショップ」も、国立がん研究センターは実施している。地域住民への医療・健康情報の提供に関する連携のあり方を話し合うのだ。

 このワークショップが九州で行われたのを機に、積極的に連携しているのが福岡県の飯塚市立飯塚図書館と飯塚病院、社会保険田川病院。定期的にミーティングを重ね、連携を発展させている。

 飯塚市立飯塚図書館での主な取り組みを見てみよう。

  • 館内に「がん情報コーナー」を設置し、「予防」「治療法」「生活」の3つの切り口で棚を作成
  • 「予防」として、がん検診の案内チラシなどを用意
  • 「治療法」では、がんの治療法が書かれた書籍を中心に配置。国立がん研究センター発行の「がんの冊子」なども展示・提供
  • 「生活」では、療養中や療養後の生活に参考になる闘病記や就労支援などの本、チラシ類を展示・提供
  • 飯塚病院と社会保険田川病院にあるがん相談支援センターの案内や、両院の患者会を紹介
  • がん関連の新聞記事のスクラップを作成
  • 図書館を会場にしたイベント「飯塚図書館まつり」で、がん相談支援センターの相談員による出張相談、がん情報のブース展示などを実施
*1 「がん情報サービス」サイト画面にある「音訳・点訳資料」のところ。がんの冊子などを音読したファイルがあり、パソコンやスマートフォンなどの再生ソフトで聞ける
*2 全国どこに住んでいても適切ながん医療が受けられるよう、全国436カ所 (地域がん診療病院43カ所を含む。2019年7月1日現在)に設けられた病院。院内には「がん相談支援センター」があり、患者や家族、地域住民らの相談に応じ、がん診療に関わる情報を提供している。

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