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山本昌投手50歳の引退登板 プロとしての長寿の秘密

最年長記録更新の「裏」には柔軟な思考があった?!

 寺西 芝=日経Gooday

決め球“スクリューボール”

 体が大きくて左利き。それくらいしか特徴のない投手が、留学で手に入れたのはある変化球だった。

 「左投手にとっては右打者をどう抑えるかが勝負。彼は、右打者の外側に沈み込んで行く球を米国で身につけます。これが山本昌の生命線になる」(青島氏)

 それが決め球の“スクリューボール”。

 当時の日本では、実績のない若手が新しい球を試そうものなら怒鳴られて終わったところ。米国マイナーリーグの自由な雰囲気が、スクリューボールに挑戦する土壌を作った。その後、この球が「生命線」になっていく。徐々に米国でも実績を上げるようになると、日本に帰れと指令が出る。帰国後、88年8月30日の広島戦で初勝利。この年5勝を挙げると翌年からは勝ち星を積み重ねていく。

 結果を出しながらも、長く現役生活を続けられる“秘けつ”を青島氏はこう分析する。

 「米国留学で現地になじめたことが示していますが、山本昌は発想がとても柔軟。新しいものに対応していける柔軟さがあります。彼の趣味のラジコン好きは有名ですが、それ以外にも昆虫クワガタの飼育やテレビゲームなど、少年の心を持ち続けていろんなことに興味を持つ。普通、オジサンになるとだんだんできなくなるのですが、いくつになっても若い感性を持って、少年のままでいられる。野球に対しても、少年のように純真に取り組める感覚があるんです。いつまでも若々しさを失わないのは、これが大きな要因なんじゃないでしょうか」

今の若者のほうが優れている

 頭の柔軟さを示す言葉が、山本昌の著書『山本昌という生き方』(小学館)にある。

 「僕は『最近の若者は……』という言葉が好きではない」

 「単純に、今の若者のほうが優れていると思うのだ」

 「最近の若い選手たちの野球技術レベルは格段に上がっている」

 想像してほしい。あなたの会社にこんなことを言えるベテラン社員がいるだろうか。ただ若者に媚(こび)を売っているわけでもない。自著では山本昌たちの世代が経た、軍隊のような無駄な練習と、今の若い世代が行っている効率のよい練習方法の両方に触れ、それぞれの短所長所を的確に指摘し、その上でこう語っている。

『山本昌という生き方』(小学館)

 「今の若い選手にも弱点がないわけではない。効率のよい練習方法しか知らないため、無駄がないのだ」「効率的な練習は絶対に必要だ。しかし、効率だけを追い求めると落とし穴にはまることもある。無駄なことにも利用法はあるのだ」(『山本昌という生き方』より)。

 旧世代と新世代の両方の良さ悪さを知り、みずからを両者の「ハイブリッド車」と呼ぶ。この冷静な目と、「今の若者のほうが優れている」と素直に発言できる柔軟さとが彼のこれまでの活躍を支えていた気がしてならない。(つづく)

次回は、左ひざの手術から奇跡の復活を遂げたエピソードなどを交えて掲載します。

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