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海外渡航中の健康トラブル…見落としがちな備えとは?

持参薬の基本は3種類、「日本人特有のアレ」にも備えよ

 田村知子=フリーランスエディター

 スポーツドリンクは電解質がとれる一方、糖分が多いため、私はあまりお勧めしていません。現地の空港の売店や薬局などで経口補水液(ORS)が入手できますし、インスタントの味噌汁やスープなどでも代用できます。

海外で実際に死亡リスクが高いのは、感染症より心疾患や脳卒中

持参薬のほかに、渡航前に準備しておいたほうがいいことはありますか。例えば、渡航先によっては、感染症対策のための予防接種を受けることが推奨されています。

 東南アジア、中南米、アフリカなどに行く場合は、感染症予防のためのワクチンを接種しておくことが大切です。国や地域によっては予防接種証明書の提示が義務付けられている場合もあるので、事前に「FORTH(厚生労働省検疫所)ホームページ」などで渡航先の情報を入手して、必要とされる予防接種を受けておきましょう。

団体ツアーに参加する高齢者は、インフルエンザや肺炎予防のためのワクチンの接種を(c)Khuntnop Asawachiwantorngul-123rf
[画像のクリックで拡大表示]

 また、高齢者が団体のツアーに参加される場合は、インフルエンザや肺炎予防のためのワクチンも接種しておくことをお勧めします。海外旅行時は環境の変化や移動などで体への負担がかかるため、インフルエンザや肺炎にかかりやすくなるうえに、誰か1人が発症すれば、集団感染するリスクもあります。

 しかし実情では、感染症で死亡に至るケースはごく稀です。死亡例の多い感染症の1つに狂犬病がありますが、日本人では2006年にフィリピンで犬にかまれた人が帰国後に発症、死亡するケースが2例あって以降、ここ10年の報告はありません。

 外務省の「2015年(平成27年)海外邦人援護統計」によれば、2015年の海外における死亡者数は533人で、そのうちの約8割を占める406人が「疾病等」で亡くなっています。外務省では詳細な疾病名は公表していませんが、大手保険会社の死亡保険金の支払い統計などを参考にしてみると、死因の多くを占めているのは心筋梗塞や脳卒中です。

 ですから、心筋梗塞や脳卒中のリスクがある人は、できればそれを加味した予防検診を受けておくといいでしょう。例えば、国民健康保険は適用されませんが、心筋梗塞や脳卒中の原因となる動脈硬化を数値化して、発症リスクを調べる血液検査に「LOX-index(ロックス・インデックス)検査」というものがあります。

心筋梗塞や脳卒中のリスクがある人とは、具体的にはどんな人でしょうか。

 高血圧症、脂質異常症(高脂血症)、糖尿病、肥満といった生活習慣病のある人、喫煙習慣のある人、家族が心筋梗塞・脳卒中を経験している人が挙げられます。年齢は40歳以上ですが、今挙げたようなリスクファクターがあれば、30代でもリスクがあるといえます。

『自己記入式安全カルテ』(旅の医学社)

 また、こうした生活習慣病などの持病がある人は、常用薬の準備だけでなく、現病歴(現在かかっている病気がいつから、どのように始まり、どのような経過をたどってきたかの履歴)や使用中の薬剤名、アレルギーの有無などの情報を、英文で用意しておくことを勧めています。

 そのために、日本旅行医学会では『自己記入式安全カルテ』(旅の医学社)を監修しました。書式にのっとって自分で記入できるカルテのほか、海外旅行時に必要な準備や心構え、海外での病院のかかり方、病院での簡単な英会話集などをまとめています。こうしたものを活用して、自分でカルテを作成したあとに、主治医にチェックしてもらうとなおいいでしょう。

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