ノーベル賞・本庶佑氏が開発したがん治療薬「オプジーボ」はここがスゴイ
ただし効果には個人差もあり、副作用のリスクも踏まえた選択を
大西淳子=医学ジャーナリスト
オプジーボの効果には個人差があり、重い副作用のリスクも
オプジーボが画期的な薬であることは間違いありません。ただし、すべての患者に有効な、夢の薬ではありません。
この種の薬剤は通常、点滴により投与されるため、その作用は全身に及びます。自分の組織に対する免疫反応を抑制していたブレーキの解除が全身で起こるとしたら、本人の遺伝的な背景や環境要因によっては、あらゆる臓器に過剰な免疫反応が起こる可能性があります。
実際に、患者に現れる副作用はさまざまで、間質性肺炎、甲状腺機能異常、劇症1型糖尿病、自己免疫性腸炎、重症筋無力症などの重大な副作用が10%の患者にみられたという報告もあります(参考資料3)。したがって、投与の可否は主治医によって慎重に判断され、投与開始後には、注意深い経過観察が行われます。
免疫チェックポイント阻害薬の効果は人ごとに異なります。顕著な効果が見られる患者がいる一方で、効果がない患者や、急速な悪化を経験する患者もいます。患者は医師と十分に話し合って、自分が望む毎日と人生を送るために最も適した治療法を選んでほしいと思います。
【参考資料】 1)京都大学大学院医学研究科免疫ゲノム医学講座 ホームページ 2)本庶佑「獲得免疫の驚くべき幸運」(2016年京都賞基礎科学部門受賞記念講演録) 3)「免疫チェックポイント阻害薬(ニボルマブ(オプジーボ)、イピリムマブ(ヤーボイ))などの治療を受ける患者さんへ」(公益社団法人日本臨床腫瘍学会)(2016年7月13日)