千葉県内で25年ぶりに日本脳炎の報告
0歳男児が発症、意識障害と脳神経麻痺に
加納亜子=日経メディカル
千葉県は9月11日、県北東部に住む0歳の男児が、日本脳炎を発症したことを公表した。県内での発生は1990年以来の25年ぶり。
男児は8月18日に発熱を生じ、近医を受診。その後、21日に意識障害と脳神経麻痺を呈して、旭市内の医療機関を受診した。同病院に入院し、髄液検査から日本脳炎ウイルスへの感染が確認された。
9月11日に保健所に届出をした時点では、担当医師は「命に別状はない」と報告していた。患者は現在も入院中である(9月14日時点)。
患児に渡航歴はなく、蚊の刺咬歴はあったものの、現時点ではどこで刺されたかの特定はできていない。標準的な接種期間は3~4歳とされていることもあり、同患児は日本脳炎ワクチンを接種していなかった。
日本脳炎は、日本脳炎ウイルスに感染した豚などから蚊を介して同ウイルスに感染し、発症する。11日に国立感染症研究所から報告された、ブタの日本脳炎抗体保有状況を調査した結果では、千葉県は8月時点では0%だったが、9月には50%未満に増加しており、日本脳炎ウイルスに対する抗体を持つブタが県内にいたことが明らかになっている。
千葉県はこの症例報告を受け、肌の露出を控える、虫除け剤を使用するなど、蚊に刺されないように注意喚起をしている。加えて、国立感染症研究所も、「それぞれの居住地域における日本脳炎に関する情報にも注意し、日本脳炎ウイルスが蔓延あるいは活動していると推測される地域においては、日本脳炎の予防接種を受けていない者、とくに乳幼児や高齢者は蚊に刺されないようにするなどの注意が必要である」と呼び掛けている。
