日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様

日経 Gooday

ホーム  > 医療・予防  > トピックス  > Google発の新薬が登場する日
印刷

トピックス

Google発の新薬が登場する日

強力なIT企業の資本力が創薬にイノベーションを生み出すか?

 高橋厚妃=日経バイオテク

出典:日経メディカル 2014年9月17日(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

 Googleは9月3日、子会社Calicoが製薬企業のAbbVieと提携し、医薬品の開発に本格的に乗り出すと発表した。

 近い将来、Google発の医薬品が臨床現場に登場するのだろうか。しかも研究開発で狙うのは、神経系や癌など誰もが創薬は難しいと感じている分野だ。どれだけ期待できるのだろうか。

「創薬」で新たなビジネスチャンスを狙うIT企業

(© 3dmentat - Fotolia.com)

 「ビッグデータ」の時代を迎え、データの扱いに慣れたIT企業が熱い視線を送っているのが「創薬」だ。今や、医薬品開発とITは切っても切れない関係になっている。

 創薬は大きく3つの工程からなる。(1)医薬品が攻撃する標的となる蛋白質の探索、(2)その蛋白質にうまく結合して医薬品としての機能を持つ化合物の設計・合成、そして(3)動物試験やヒトでの臨床試験──。近年、3つの工程全てにおいて、ヒトが処理することができないほどの大量のデータ、いわゆるビッグデータを扱うことが主流となりつつある。

 まず標的の探索には、ヒトのゲノム情報を利用し膨大なデータを解析する方法が盛んだ。そして探索された標的の蛋白質にがっちりと結合し、蛋白質の動きを止める化合物の設計は、全てを実験で確かめることは不可能であるため、コンピューターシミュレーションが使用される。標的蛋白質と医薬品候補化合物を構成する原子1つ1つの分子間相互作用を計算し、結合の強さを予測するものだ。ここでは、スーパーコンピューターが用いられる。

 複雑な生体内の現象を精度よくシミュレーションするためには、標的蛋白質と化合物の相互作用を計算するだけでは足りず、体内で存在する水分子も考慮して膨大な計算を行う必要性が指摘されている。処理するデータの規模は、処理能力が国内で最高のスーパーコンピューターの「京」を使っても、150個の化合物と標的蛋白質の組み合わせを計算するのに1週間程度掛かり、現場での使用が現実的ではないといわれるぐらい膨大なものだ。

有望な標的蛋白質を数週間で6個発見した米IBM

 臨床試験でも、ゲノム情報を大量に蓄積したバイオバンクを検索し、副作用がなく薬効が見込める患者を絞り込んで臨床試験を行う取り組みが始まっている。

 例えば米IBM社は、標的蛋白質の探索過程で強みを発揮する。人間の脳のように経験から学び、膨大な情報を関連付けて仮説を立てながら処理できるコンピューター「ワトソン」を開発し、7万の科学論文データを解析して有望な標的蛋白質を数週間で6個発見した。研究者が同様の蛋白質を発見するのに平均1年掛かるといわれているという。

 国内のIT企業も負けていない。今年の8月、富士通が癌を対象とした医薬品候補化合物をコンピューターで設計することに成功したと発表した。この成果は共同研究によるもので、標的蛋白質は東京大学先端技術研究センターが提供し、富士通が化合物の設計を担った。化合物の合成や評価を製薬企業の興和が担当し、今後は臨床試験も行いたいとしている。

1/2 page

最後へ

次へ

RELATED ARTICLES関連する記事

医療・予防カテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 睡眠不足は肥満や生活習慣病のリスクを高める

    近年、睡眠不足が積み重なる「睡眠負債」の怖さが取り上げられるようになり、睡眠の大切さがクローズアップされている。実際、睡眠不足や質の低下が、疲れや集中力の低下につながることを実感したことがある人も多いだろう。しかし、問題はそれだけではない。睡眠不足や質が低下すると“太りやすくなる”。さらに、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病のリスクも高まることも分かっている。そこで本特集では、睡眠と生活習慣病の関係から、実践的な睡眠改善法までを一挙に紹介する。

  • 女性の「尿漏れ」「頻尿」には骨盤底筋トレーニングが効く!

    トイレに行く回数が多い、くしゃみをすると少し漏らしてしまう、突然尿意に襲われて我慢できない…。女性の尿の悩みは、「頻尿」や「尿漏れ(尿失禁)」が多いのが特徴だ。これらを改善するにはどうすればいいのだろうか?

  • 男性も無関係ではない骨粗鬆症、飲酒・喫煙・高血糖はリスク

    骨がスカスカになってもろくなり、骨折の危険性が増すのが「骨粗鬆症」だ。急速な高齢化に伴って患者数が増えており、日本骨粗鬆症学会などによると、日本における患者数は現在1300万人と推定されている。骨粗鬆症というと女性のイメージがあるが、男性の患者数は300万人と見られている。本特集では、骨粗鬆症が起きる仕組みから、気をつけたい生活習慣、そして骨を強くするための対策までを一挙に紹介する。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2019 Nikkei Inc. All rights reserved.