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新型コロナウイルスは再感染する

やがてインフルエンザのような感染症になる日が来る?

 大西淳子=医学ジャーナリスト

1回目と2回目のウイルスの系統が異なることを確認

 この男性の初回の発症10日目に採取した血液と、2回目の入院初日に採取した血液を対象に、新型コロナウイルスに対する抗体(IgG抗体)の存在を調べたところ、どちらの検体からも検出されませんでした。しかし、2回目の入院5日目の検査では、血液中に抗体が存在していました。これは、初回感染後に産生されたはずの抗体が、再感染が発覚した時点では検出限界以下になっていたが、数日後に再び現れたことを意味します。

 続いて、3月と8月に採取されたPCR検査用の検体を用いて、ウイルスのゲノム配列を調べたところ、それらが異なる系統のウイルスだったことが分かりました。系統学的には、最初に感染したウイルスは、3月~4月に米国またはイングランドで同定されたウイルス株と極めて近縁で、2回目に感染したウイルスは、7月~8月にスイスとイングランドで同定されたウイルス株と極めて近縁でした。以上のデータは、この患者が新型コロナウイルスに再感染したことを示す確実な証拠といえます。論文は8月25日付のClinical Infectious Diseases誌電子版に公開されました(*2)。

米国の20代男性は、再感染で肺炎を発症

 米国で再感染が認められたのは、ネバダ州に住む25歳の男性です。4月18日に行われた住民対象のPCR検査イベントで陽性が判明しました。

 実は、この患者は3月25日の時点で自覚症状があり、咽頭痛、咳、頭痛、吐き気、下痢などを経験していました。男性は陽性判定後に隔離され、4月27日には症状は消失しました。その後、5月9日と5月26日の計2回、新型コロナウイルスの検査(1回目はPCRよりも高感度といわれている核酸検査TMA、2回目はPCR検査)を受けましたが、結果はいずれも陰性でした。

 その後、男性は5月28日までは健康でしたが、再び発熱、頭痛、めまい、咳、悪心、下痢が出現し、5月31日に医療機関を受診しました。このときは胸部X線検査で異常が見られず、帰宅しました。しかし、6月5日に再び受診した時点で低酸素状態が認められたため、酸素吸入を受け、その日のうちに入院してPCR検査を受けました。同日に行った胸部X線検査により肺炎を発症していることが判明し、PCR検査の結果も陽性でした。翌6日に新型コロナウイルスに対する抗体(IgG、IgM)の検査を行ったところ、こちらも陽性になりました。

 この男性が4月に感染した新型コロナウイルスと6月に感染した新型コロナウイルスのゲノム配列を調べたところ、どちらも同じ系統に属していましたが、変異や挿入、欠失が複数見つかりました。

 これまでに行われた研究では、新型コロナウイルスの自然な変異の速度は、1年間に23.12塩基の置換を生じさせるレベルであることが示されています。この患者の2回目の発症の原因ウイルスが、初回感染後に体内に残って自然な変異を繰り返したものだと仮定すると、その速度は年間に83.64塩基の置換が生じるレベルと推定され、既知のデータと大きく矛盾します。したがって、この患者は別のウイルスに再び感染したとみなされました。論文は、世界有数の査読前論文サーバーであるSSRNで、8月31日に公開されました(*3)。

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