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インフルエンザ予防接種がコロナの重症化リスク減少に関係

肺炎球菌ワクチンなども感染リスク低下に関係か

 大西淳子=医学ジャーナリスト

 暑さに耐えながらできるだけマスクを着用し、感染予防を心がけてきた夏が終わろうとしています。今後、徐々に気温と湿度が下がると、ウイルスが感染性を維持できる時間は長くなると予想されます。新型コロナウイルスに対するワクチンは完成しておらず、軽症や中等症の患者に有効であることが確認された治療薬がないまま、ウイルスが勢いを増したら、と考えると不安になる人も多いことでしょう。

 しかしこれからの時期、もしかしたら有効かもしれない追加の予防策が、少なくともひとつ、手近に存在することを示唆する研究結果が相次いで報告されています。それは「インフルエンザの予防接種を受けること」です。

インフルエンザの予防接種を受けている人は新型コロナにかかりにくい、あるいは重症化・死亡しにくいという研究結果が相次いでいます。(C) adiruch-123RF

コロナ対策が奏功か、昨シーズンはインフルエンザ患者が減少

 WHO(世界保健機関)は、2020年8月18日に、今年はインフルエンザの予防接種を積極的に受けるよう呼びかけました。新型コロナウイルスに感染した場合と似た症状が出るため、医師の診断が難しくなる恐れがある、といった理由からの推奨のようです。

 しかし、「過去に予防接種を受けたが、結局インフルエンザに感染したから効果を感じられなかった」という人も少なくないと思います。厚生労働省も、「インフルエンザQ&A」(*1)において、ワクチンにはインフルエンザウイルスの感染を完全に抑える働きはないが、インフルエンザの発病を抑える効果は一定程度認められる。しかし、インフルエンザワクチンの最も大きな効果は重症化の予防だ、と述べています。

 一方で、昨シーズン(2019~2020年シーズン)は、国内のインフルエンザ患者数が例年より少なかったことが示されています。東京大学大学院国際保健政策学教室の坂元晴香氏らの報告(*2)によると、昨シーズンは、年始から例年患者数がピークを迎える第4週になっても患者数がおおよそ一定に保たれたままで増加せず、その後低下しました。年始から、学校閉鎖やイベントの中止が行われる前となる第7週までの患者数は、例年に比べ有意に少なくなっていました。

 著者らは、「新型コロナウイルスに対する不安が、インフルエンザ患者の医療機関への受診を減らした可能性もあるが、個人が行った感染予防策、すなわち、マスクの着用や手洗い、消毒などが功を奏したと考えられる」としています。

 一般に、国民の感染予防に関する意識はそのときよりも高まっていることから、次の2020~2021年のシーズンには、2020年初めよりさらにインフルエンザの感染者は少なくなるだろう、と考える人が多くても不思議はありません。

 それでもなお、インフルエンザの予防接種を受ける価値は高い可能性があります。新型コロナウイルス対応に当たる医療現場の負担の軽減に加えて、接種した本人が得る利益が、例年を上回る可能性があるからです。最近世界で報告されている、インフルエンザの予防接種が、新型コロナウイルスの感染や死亡、重症化リスクの低下と関係することを示す論文を、順番に紹介していきましょう。

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