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インフルエンザ予防接種がコロナの重症化リスク減少に関係

肺炎球菌ワクチンなども感染リスク低下に関係か

 大西淳子=医学ジャーナリスト

インフル以外の予防接種も感染予防に役立っている可能性

 最後に、米国人を対象に、一般的な予防接種18種類の接種歴と新型コロナウイルス感染の関係を調べた研究結果(*7)を紹介します(査読前の論文で、MedRxivに2020年7月29日に公開)。

 ワクチンは本来、対象とする疾患に対する免疫を誘導し、感染を防ぐ、または重症化を防ぐものですが、一部のワクチンは、対象とする疾患以外の感染症からの保護にも役立つことが示されており、新型コロナウイルスについては、BCGポリオの生ワクチンが、感染予防効果を持つ可能性が示唆されています。

 既に、既存のワクチンが新型コロナウイルスの感染を予防できるかどうかを調べる複数の臨床試験が行われていますが、結果が出るまでには長い時間がかかりそうです。そこで著者らは、米国の1カ所の大学病院を受診した人々を対象として、18種類のワクチンの接種歴と新型コロナウイルス感染の関係を検討することにしました。

 対象としたのは、新型コロナのPCR検査を受けた13万7037人です。年齢は、18歳以下が7.9%、19~49歳が38%、50~64歳が24%、65歳以上が30%で、男性が44%、女性は56%でした。これらの人々の予防接種記録を参照し、それぞれのワクチンを接種していた人々と、年齢、性別、人種などが一致するワクチン非接種者の、新型コロナウイルス感染陽性率を比較しました。

 その結果、以下の7種類のワクチンの接種歴が、接種の時期(過去1年間、2年間、5年間のいずれか)にかかわらず、一貫して新型コロナウイルス感染リスクの低下と関係することが明らかになりました。なお、BCGについては、米国ではほとんど接種が行われていないため分析できませんでした。

新型コロナウイルスの感染リスク低下との関係が示唆された7つのワクチン

ポリオワクチン、Hib(インフルエンザ菌b型)ワクチン、MMR(麻疹、おたふくかぜ、風疹)ワクチン、水痘ワクチン、13価の肺炎球菌ワクチン、65歳以上に対するインフルエンザワクチン、A型肝炎・B型肝炎混合ワクチン

 どの論文の著者も、これらの結果について、「予防接種を受けている人は、そうでない人に比べ健康に注意している傾向が高いこと、また、高齢者の場合には、いろいろな病気を抱えている人ほど、医師に勧められて予防接種を受ける可能性が高いことなどに注意が必要である」と述べています。また、「それらのワクチンが、本来の対象ではない新型コロナウイルス感染症にも好ましい影響を及ぼす理由を明らかにする研究が必要である」と指摘しています。

 現在、国内で受けることのできる予防接種が、新型コロナウイルスにも効果があるのかどうかを示す明確なエビデンスはまだありません。ですが、まずは、流行期に備えてインフルエンザの予防接種を受けてはいかがでしょう。

 これを機会に自分が受けられる予防接種の種類を知りたい、と思った人は、下記の資料(*8)を参照し、かかりつけ医にご相談下さい。23価の肺炎球菌ワクチンとインフルエンザワクチンについては、65歳以上の高齢者に対して公費助成が行われています。詳細は、住民登録のある市町村に確認してください。


新型コロナウイルス関連記事はこちら

大西淳子(おおにしじゅんこ)
医学ジャーナリスト
大西淳子(おおにしじゅんこ) 筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

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