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インフルエンザ予防接種がコロナの重症化リスク減少に関係

肺炎球菌ワクチンなども感染リスク低下に関係か

 大西淳子=医学ジャーナリスト

インフルワクチン接種率の高い地域では新型コロナ死亡率が低い

 まず、インフルエンザ予防接種が新型コロナウイルス感染症による死亡リスクを下げる可能性を示唆した米国の論文(*3)を紹介します。専門家による査読を受ける前の論文で、「MedRxiv」に2020年6月26日に公開されたものです。

 著者である米Johns Hopkins大学の研究者らは、米国内の2034郡で、2020年6月10日までの新型コロナウイルス感染症による死亡者数と、65歳以上の高齢者の2019~2020年のシーズンのインフルエンザ予防接種率の関係を調べました。全体の予防接種率の中央値が45%だったため、2034郡を、接種率が45%以下だった1060郡と、45%超だった974郡に分けました。

 結果に影響を及ぼす可能性のある様々な要因を考慮した上で分析したところ、高齢者の予防接種率が高い郡では、新型コロナウイルス感染症による死亡リスクが低いことが示されました。予防接種率が10%上昇するごとに、死亡率は28%低下しており、いくつか条件を変えて分析しても、この関係は強固だったとのことです。

ブラジルでもインフルワクチン接種者は重症化リスクが低かった

 続いて、ブラジルで新型コロナウイルス感染症にかかった約9万3000人を対象に行われた研究(*4)を紹介しましょう。この研究では、インフルエンザの予防接種を受けている人は、新型コロナウイルスに感染しても重症化しにくい可能性が示されました(やはり査読前の論文で、MedRxivで2020年7月1日に公開)。

 著者らは、2020年6月9日までにブラジルで確認された新型コロナウイルス感染症発症者9万2664人のデータを分析し、南半球におけるこの秋冬の流行期に先駆けてインフルエンザ予防接種を受けていた患者と、受けていなかった患者の重症度を比較しました。9万2664人のうち31.1%がそのシーズンに予防接種を受けていました。接種率が高かったのは、60歳代の人々でした。

 結果に影響する可能性のある要因を考慮した上で分析したところ、予防接種を受けていた人は、受けていなかった人に比べてICU(集中治療室)への入院リスクが8%低く、侵襲的な換気(人工呼吸器など)を受けるリスクが18%低く、死亡のリスクも17%低かったことが示されました。なお、新型コロナウイルス感染症を発症してからインフルエンザの予防接種を受けた患者においても、新型コロナウイルス感染症による死亡リスクは低下していました。

 ブラジルにおけるインフルエンザの流行のピークは、北部が4月から5月、南部が6月から7月ですが、今年の予防接種キャンペーンは例年より1カ月早く3月23日に始まりました。4月半ばの時点で、高齢者の接種率は90%を超えていたとのことです(*5)。

インフル、肺炎球菌の予防接種を受けていると感染しにくい?

 イタリアでは、インフルエンザワクチンおよび肺炎球菌ワクチンの接種と新型コロナウイルスに感染する(検査で陽性となる)リスクの関係が検討されました(*6)。

 イタリアでは、18歳以上の国民に参加を募って、大規模なWebベースの調査EPICOVID19を行っています。参加者を年齢(65歳未満と65歳以上)に基づいて2群に分け、2019~2020年の流行前にインフルエンザ予防接種を受けたかどうかと、過去12カ月間に肺炎球菌に対する予防接種を受けたかどうかを尋ねて、予防接種歴と、新型コロナウイルス検査の結果の関係を調べました。

 2020年4月以降に質問に回答したのは、65歳未満の17万731人(男性が44.2%)と65歳以上の2万8097人(男性が70.8%)でした。新型コロナウイルス検査を受けていたのは計6680人でした。インフルエンザ、肺炎球菌の2つの予防接種は、新型コロナウイルスが陽性となるリスクの低下と関係していました(表1)。

表1 新型コロナウイルス感染とインフルエンザ/肺炎球菌予防接種歴との関係
(Vaccines 2020, 8(3), 471. Published online August 23, 2020.)
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