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子どもへのコロナワクチン 効果は? 副反応は? 感染時の後遺症リスクは?

迷ったときに知っておきたい最新情報

 大西淳子=医学ジャーナリスト

ワクチンの小児における発症予防効果は高い

 日本でワクチンの接種を受ける12歳以上の小児には、主にファイザー社の製品が用いられることになるでしょう。このワクチンの小児に対する有効性と安全性は、米国で行われた無作為化試験の中間解析(*4)で確認されています。

 この試験では、12~15歳の小児1131人にファイザー社のワクチンを、1129人に偽薬(生理食塩水)を21日間隔で2回接種しました。接種後の局所と全身性の反応は、偽薬群に比べワクチン群の小児に多く報告されましたが、全体として軽症から中等症で、1~2日のうちに消失しました。最も多かったのは注射部位の痛み(79~86%)、続いて疲労感(60~66%)、頭痛(55~65%)でした。ワクチン関連のアナフィラキシーは認められませんでした。

 2回接種から1カ月後には中和抗体が誘導されており、2回目の接種から7日後以降に新型コロナウイルスを発症した小児はいませんでした。一方で、偽薬群では16人が発症しており、ワクチンの効果は100%と推定されました。

心筋炎・心膜炎になるリスクは感染後のほうが高い

 新型コロナワクチン接種後の若い人々にまれに生じる「心筋炎・心膜炎」のリスクについて、もう少し詳しく見てみましょう。

 米国で12~17歳の小児を対象として行われた研究の査読前論文(*5)では、ワクチン接種後の心筋炎・心膜炎の発症率と、新型コロナウイルス感染症を発症した後の心筋炎・心膜炎の発症率を比較したところ、後者のほうがはるかに高かったと報告されています。

 ワクチン接種後の12~17歳の心筋炎・心膜炎の発症率は、男性の1回目の接種後で100万人当たり9.8人、2回目の接種後は66.7人、女性ではそれぞれ1.1人と9.1人となっていました。一方で、新型コロナウイルス感染症を発症した12~17歳の心筋炎・心膜炎の発症者は、男性では100万人当たり450人、女子では213人でした。これは、新型コロナウイルス感染症の発症後に心筋炎・心膜炎を合併するリスクは、ワクチン接種後に比べ、男性で約5.9倍、女性ではおよそ21倍になることを意味します。

日本の小児科学会は12歳以上の小児への接種を支持

 最期に、日本の専門家の見解も見ていきましょう。日本小児科学会は、「新型コロナワクチン~子どもならびに子どもに接する成人への接種に対する考え方~」(*6)で、12歳以上の小児に対するワクチン接種を支持しつつ、接種前に副反応に関する丁寧な説明が必要との考えを示しています。

 同学会は、新型コロナウイルスワクチンに関するQ&Aのページも作成しています。

 また、日本小児循環器学会は、ワクチンの副反応として生じる可能性があるとされる心筋炎について、以下のような見解を示しています(*7)。

 「新型コロナウイルスワクチン接種後の心筋炎は、新型コロナウイルス感染後の急性心筋炎よりも発症率が極めて低く、新型コロナウイルスワクチン接種後の心筋炎は大半が軽症であることから、心疾患を基礎疾患にもつ患者さんにおいても新型コロナウイルスワクチン接種を基本的に推奨します」

 なお、12歳以未満の小児に対するワクチン接種の開始は、米国でもまだ先になりそうです。ファイザー社は、2021年3月から進めてきた臨床試験の結果に基づいて、低年齢の小児にはより低用量のワクチンを用いることを決め、現在、欧米4カ国で、生後6カ月から12歳未満の小児を対象とする大規模な臨床試験を進行中です。早ければ今秋に、米国で5~11歳を対象とする緊急使用許可(EUA)の申請が行われる可能性があります。また、続けて、2~5歳を対象とするEUAの提出も計画されると予想されています。

新型コロナウイルス関連記事はこちら

大西淳子(おおにしじゅんこ)
医学ジャーナリスト
大西淳子(おおにしじゅんこ) 筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

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