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たった1人のはしか患者から大流行が起きる理由

コンサート会場から爆発的流行への警戒強まる

 高橋義彦=医学ライター

今年に入って患者が急増、既に32人に

閉ざされた空間では特に感染が拡大しやすい。(©Melinda Nagy-123rf)

 このように麻疹は決して侮れない感染症だ。近年、日本では、国内の麻疹ウイルス(土着株)による感染例がゼロという状態が3年以上続いており、2015年3月に世界保健機関(WHO)により「排除状態」と認定された。しかし、海外で感染した帰国者の事例(輸入感染)は依然として多数報告されているので、麻疹を発症する患者自体がゼロになったわけではない。実際に今回麻疹と判明した男性も、東南アジアからの帰国直後だったという。国立感染症研究所感染症情報センターによると、2016年は既に32人の麻疹患者が報告されており(*3)、同センターは25日、「麻しんに関する緊急情報」(*4)を発表している。

 唯一ともいえる予防策がワクチン接種だ。麻疹と風疹の混合ワクチン(MRワクチン)として接種されることが多い。接種すれば95%以上の人が麻疹ウイルスに対する免疫(抗体)を獲得できる。定期接種(1歳児、小学校入学前1年間の小児などが対象)を受けていない人、あるいはこれまでに麻疹に罹っておらず、ワクチン接種の有無が不明な人はワクチンを受けるべきだろう。

 麻疹の感染リスクのある人は、ワクチン接種前の1歳までの乳児と、2回目の接種漏れの多い10~20歳代を中心に、国内に300万人弱存在すると推測されている(*2)。免疫があるかどうか分からない場合は、医療機関で抗体検査を受けることができる。分からない状態でワクチンを受けても問題はない。

 日本と同様に麻疹が「排除状態」にある米国では2015年1月、ディズニーランドを訪れた一人の麻疹感染者から爆発的な流行が起きた。そんな事態が日本でも起こる可能性がある。

 今回問題となったコンサート会場で麻疹に感染した人は、8月24日頃から症状が出始めていると予想されている。上記のような症状には十分注意し、体調に変化が生じたときは医療機関を受診してほしい。その際、二次感染を防ぐためにも、麻疹の恐れがあることをあらかじめ伝えてから受診することをお勧めする。

*3 国立感染症研究所 感染症情報センター 2016年感染症発生動向調査への麻しん報告例(n=32) 第1週~33週(8月24日集計) 2016年8月26日
*4 国立感染症研究所 感染症情報センター 麻しんに関する緊急情報

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