日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様

日経 Gooday

ホーム  > からだケア  > トピックス  > 本当に恐い母乳のネット購入  > 3ページ
印刷

トピックス

本当に恐い母乳のネット購入

汚染に加え、様々な病原体もノーチェックで混入

 大西淳子=医学ジャーナリスト

セシウムやダイオキシンも母乳に移行

 やや忘れられた感がありますが、2011年6月に公表された、厚生労働科学研究事業「東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所事故による母乳中の放射性物質濃度評価に関する調査研究」班の調査結果を聞いて、不安になった女性は少なくなかったはずです。母乳中にわずかながら放射性物資(セシウム)が検出されたが、子どもの健康には影響しないという報告でした。

 こちらも最近話題になりませんが、ダイオキシンも母乳に移行します。体内に蓄積され、がんや生殖機能の異常を引き起こす可能性があるとして、1990年代にはずいぶん話題になりました。日本でも厚生科学研究「母乳のダイオキシン類濃度等に関する調査」が1998年に行われました。

 先ほど紹介した英国の論文でも触れられていたビスフェノールA(BPA)は、環境ホルモン(環境にあり、体内に入るとホルモンと同様に作用する物質)として知られています。ポリカーボネート樹脂やエポキシ樹脂製の容器から溶け出すため、ポリカーボネート製ほ乳瓶の使用を禁じている国が複数あります。また、母乳に移行することも示されています。

 内閣府食品安全委員会の「食器などのプラスチック製品に含まれるビスフェノールAに関するQ&A」には、「ヒトがBPAに曝露されて生殖発生や発達に悪影響が及んだという直接的な証拠はないが、実験動物におけるBPAの低用量曝露による影響については、生殖発生、神経発達、免疫系に及ぼす影響を示唆する知見が多数報告されている」とあります。

早産児や低出生体重児の病気予防を目的とした母乳バンク

 日本でも、2014年10月に母乳バンクが正式に業務を開始しました。昭和大学江東豊洲病院の小児内科の水野克己氏が立ち上げた母乳バンクの目的は、早産児の病気の予防です。母乳の利益は早産児や出生体重が少ない新生児において特に大きく、命にかかわる壊死性腸炎や、失明に至ることもある未熟児網膜症、慢性肺疾患、感染症などの発生率を減らす効果が期待できます。

 母乳提供者は、江東豊洲病院で出産した女性と、同病院の外来に通院している女性に限定されています。飲酒、喫煙の習慣や感染症に関する調査と血液検査を行い、条件を満たした人から無償で提供を受けます。低温殺菌処理と病原体の検査を行った後に、母乳は冷凍保存されます。

母乳でなくてもいい子は育つ

 母になった女性の多くが「いいお母さんになりたい」と強く思います。でも、「〇〇でなければ」と理想を高く掲げすぎると苦しくなってしまいます。母乳でなくてもいい子は育ちますし、ネット売買されている母乳は子どもにとってあまりにリスクが高いことを心にとどめてください。困ったことがあったら、保健師さんをはじめとする専門家に相談してみてください。相性のいい人に話を聞いてもらえば、心が安らぐかもしれません。

■参考資料
「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂2 版) 2012 年12月改訂 社団法人 愛知県薬剤師会 妊婦・授乳婦医薬品適正使用推進研究班 発行

先頭へ

前へ

3/3 page

RELATED ARTICLES関連する記事

からだケアカテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 老化を左右する血管! 若返りのポイントは?

    体の中に縦横無尽に張り巡らされた「血管」をよい状態に保つことは、健康を維持するため、そして老化を防ぐために極めて重要だ。では、強い血管をキープし、老化した血管を若返らせるには、何をすればいいのだろうか。本特集では、2万例を超える心臓・血管手術を手がけてきたスペシャリストに、血管の若さを維持する秘訣と、血管を強くする運動法・食事法を聞いていく。

  • つらい「肩こり」は動的ストレッチで解消!

    肩こりの原因の大半は、生活習慣。すなわち、不自然な姿勢で過ごすことや、たとえ良い姿勢であっても長時間続けてしまうことが、首や背中の筋肉を緊張させ、筋疲労を引き起こす。この記事では、肩こりに関する記事の中から重要ポイントをピックアップして、肩こりの解消方法をコンパクトに紹介していく。

  • 筋肉博士が教えるロコモ予防の下半身筋トレ

    健康寿命を延ばすためには、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動だけでなく、「筋トレ」も重要であることが最近改めて認識されている。東京大学大学院教授で“筋肉博士”こと石井直方さんは、「寝たきりにならないためには、40~50代のうちから筋肉量を増やす意識で運動することが大切」という。そこで本特集では、石井さんに聞いた、筋トレの効果と、具体的な下半身筋トレの方法を一挙に紹介する。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2019 Nikkei Inc. All rights reserved.