医師の8割近くは機能性食品の利用を容認
医師2975人に聞く「機能性表示食品、どう思う?」
内山郁子=日経メディカル
さらに、患者が機能性表示食品などを利用することについての容認度を、「大いに利用すべき」「利用してもよい」「利用しない方がよい」「決して利用してはならない」の4つの選択肢を示して尋ねた。

その結果、最も多かった回答は、「利用してもよい」の74.9%。「大いに利用すべき」(3.2%)と合わせると78.1%になり、8割近くの医師が患者による機能性表示食品の利用を容認していた。
一方、「利用しない方がよい」(19.0%)、「決して利用してはならない」(2.9%)との回答も、全体の約2割を占めた(図3)。
最後に、機能性表示食品などの機能性食品そのものや、患者による利用に対する考えについて、自由記述欄に寄せられたコメントを紹介する。患者の食生活や治療姿勢に対する悪影響を心配する意見が多い一方、薬ではないので自己責任で使用するなら構わないとの意見も目立った。
- 機能性食品は、しっかりしたメーカーのもので、ご本人が満足できるものであれば、薬の相互作用がないことや治療中の疾病に悪影響がないことを前提に摂取OKとしています。(50代開業医、一般内科)
- 機能性食品の使用について相談された時は、どうしても使いたい時には使ってもいいが、「一度に1つだけにする」「効果が実感できない時にはやめる」「併用は絶対しない」と指導しています。(50代開業医、耳鼻咽喉科)
- 自分も特定保健用食品の「賢者の食卓」を飲んでいるが、便秘が改善された。なので、患者が使ってもいい。(50代勤務医、総合診療科)
- 機能性食品などの健康食品は、患者さんが好きなように飲んで良いと思いますが、何を飲んでいるのかは教えてほしい。(40代勤務医、消化器内科)
- 機能性食品は、うまく使えばある程度の効果が期待はできるだろうが、本来の治療より信用されたり、逆効果だったりする時が面倒。(40代勤務医、呼吸器内科)
- 患者が相談せずに自己判断で摂取し、血糖値などが悪化してしまうのが心配。(50代勤務医、代謝・内分泌内科)
- 当該食品に対する過信により、患者が通常診療を軽視する可能性があるので反対。(40代勤務医、一般外科)
- 乳癌の術後に抗エストロゲン療法を行っていた患者が、エストロゲン様物質を含有するという健康食品を健康に良いと思い、せっせと摂取していたという、笑うに笑えぬケースがあった。機能性表示食品や特定保健用食品は、身体に良いと信じ込まれる魅力的な響きがある。それが、患者さんのみならず、多くの一般消費者に対して、アブナイところを持つ。(50代勤務医、一般外科)
- 食品で病気が治ると思ってはいけない。効果が明確に出るようなものは逆に危ない。正しく理解した上で摂取すべき。そうしなければ、健康食品市場が拡大したとしても、国民の健康にはつながらない。(50代勤務医、泌尿器科)
- 機能性食品の利用は個人の自由だが、効果や副作用については医師に相談しないでほしい。メーカーが責任を持つのが基本でしょう。(50代診療所勤務医、消化器内科)
- 「医師に相談を」と記載してある食品があるが、相談されても困ることが多い。(40代診療所勤務医、循環器内科)
- 患者は良いと思って機能性食品を摂取するが、症例によっては、それがプラスではなく、マイナスに作用する場合があるのではないか。診療側としては、今後、患者への問診時に機能性食品の使用の有無を確認して、適切な診断を立て、またその使い方を指導する必要があると考えられる。そのためには、我々は機能性食品を絶対悪として無視するのではなく、理解と関心をもって、情報収集にあたらなければならないと思う。(40代勤務医、眼科)
- 機能性食品の利用に賛成はできませんが、明確に否定できる根拠がない限り、付き合うのも一法です。患者さんが話をできる余地を設けないと、隠れて使用している場合、当方の治療薬との併用による不適切な結果を招きかねません。そのようなことを考慮すると、機能性食品に関する知識は医師にとって必要でしょう。(60代開業医、産科・婦人科)
- 健康食品については、通販番組などで「どう考えてもこれはおかしいだろう」という宣伝文句を見聞きします。機能性表示食品制度は、悪徳商品対策の一環として、悪いことではないと考えます。(50代勤務医、一般内科)